「数家有二展 土の呼吸」開催のお知らせ

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12月13日(土)~22日(土)に開催する「数家有二展 土の呼吸」のご案内です。

数家有二さんは、農と陶、そして自然との共生を地続きの営みとして生きる陶芸家です。その多彩な経験の根底に流れるのは、常に「土」へのまなざしです。1977年、桃山時代に古田織部が指導した古伊賀・西光寺窯跡のほど近く、三重県伊賀市に生まれました。高校卒業後は農業法人で野菜づくりに携わり、その後パン職人として粉を練り、火と向き合う仕事に就きます。

2004年に北海道へ移住し、旭川近郊の畑や山の土に触れながら、一路窯・稲垣征弘氏のもとで陶芸を学びました。スコップ一本で山の斜面に築いた窯で土を焼き上げ、畑の土そのものを素材とする独自の表現を模索します。2013年には東旭川町瑞穂に移り、「半農半陶」の暮らしを実践。ベトナム、韓国、沖縄、西表島、ハンガリー、インドへと渡り、南蛮焼締やパナリ土器、高麗李朝の古陶、そして土器づくりの源流に触れながら、土と人との関係を探りました。

2018年、生まれ故郷・伊賀の山林に戻り、約4000坪の森を整備。間伐や炭素埋設、無肥料によるエネルギー農法を実践しつつ、森の原土を叩き、溶かし、混ぜ合わせながら、自らの手で器を生み出しています。古典的な伊賀焼をなぞるのではなく、土の呼吸に寄り添い、土そのものの生命力を映し出す数家さんの器。大地の記憶と人の営みが交わるような焼き物の世界を、ぜひご覧ください。店主

数家有二展 土の呼吸
2025年12月13日(土)~20日(土)
作家在廊日 12月13日  
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6

経歴
1977年 三重県伊賀市に生まれる
1996年 農業法人で野菜を育てる。
2000年 パン職人になりパンを焼く
2004年 北海道旭川市に移住し野菜を育てる
2011年 陶芸家 稲垣征弘氏の指導を受ける
2013年 東旭川町に移住、半農半陶生活をする
2018年 伊賀に戻り地元の土で制作をはじめる
2025年 現在、伊賀にて作陶中

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# by sora_hikari | 2025-12-07 18:00 | 数家有二展

「市岡和憲 煎茶道具展」ありがとうございました

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市岡和憲 煎茶道具展」は本日終了しました。会期中ご来店くださいました皆様、ネットを通じてお選びくださいました皆様に厚く御礼申し上げます。尚オンラインストアは本日(12/6)21時までご利用いただけますのでお見逃しの方はどうぞご覧ください。

住所だけを頼りに、京都市内から車で一時間半。美山町の奥へと分け入り、市岡さんの工房をアポなしで訪れたのが、二年半前の夏のことでした。陶芸家の気配をただよわせる建屋の奥から、仙人のような御仁が現れ「見つかりはりましたなぁ〜」と一声。あれが市岡さんとの最初の出会いでした。

いまやSNSやネット検索で誰にでも連絡がとれる時代に、こんな“隠れ里”の作り手がいることに、胸が高鳴ったのを覚えています。十代から陶芸に携わり、師匠のもとでの修行や煎茶家元の仕事を経て、閉じた社会のなかで腕を磨いてきた市岡さん。世間に大きく露出することなく仕事を続けられたのは、むしろ煎茶道具の文化的背景を深めるうえで、必然の環境だったのかもしれません。

職人仕事の傍ら、公募展への出品は地道に続けてきたものの、一般市場を視野に入れ始めたのはここ五年ほど。長い熟成期間を経てきた作り手は、ただ技巧を凝らすのではなく、煎茶趣味が育んできた“風流”そのものをどう提供するかへと視線を向けています。明清代の中国でも、江戸後期から明治の日本でも、煎茶は文人の嗜みとして、形而上的な価値をまとった文化でした。今回の出品作も、急須(茶注)にとどまらず、その周辺の取り合わせまで含めて、文人趣味の世界観を見事に立ち上げています。市岡さんは、ご自身のこの作行を「現代古美術」という言葉で表現されています。

きっと市岡さんのような方を語りすぎるのは野暮なのでしょう。それは重々承知しつつも、時代は変わり、閉じた世界だけで秘伝を守り続けても真価は伝わらない。陽の光のもとに置かれれば、虚飾はすぐ剥がれ落ちます。どこか水木しげる作品の妖怪を思わせる不思議な風貌も相まって、謎めいた陶芸家ではありますが、外へ開くことでいっそう奥行きが伝わってくる。その体験こそ、今回の収穫でした。

これからも手を広げることなく、自身の歩調を守って作り続けていくとのこと。さらに深まっていく円熟味が楽しみでなりません。

最後になりましたが、市岡さんの茶器を用いて瞑想茶会をひらいてくださった齋藤りょう子さん、今展に合わせて写真集を編んでくださった若王子倶楽部の左右様とご関係者の皆様、そして今回初めて市岡さんの煎茶道具に触れてくださった皆様、お茶会に参加して下さった皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

【市岡和憲展オンラインストア】
販売期間:12月6日(土)21時まで

市岡和憲 煎茶道具展
2025年11月29日(土)~12月6日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6

経歴
1968年 京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれる
1988年 京都府立陶工職業訓練校修了
1989年 八代村田亀水に師事
1996年 京都府美山町にて開窯
2013年 単室薪窯築窯
2017年 中国 宜興で紫砂急須の技術研修
2025年 現在、京都府美山町にて作陶

解説
京都の山あい、茅葺きの里として知られる美山町。その静寂の中で、煎茶道具を作り続けているのが市岡和憲さんです。SNSやギャラリーで作品を目にする機会が少ないだけに、初めて工房を訪ねたときは「見つけた!」という喜びに満たされました。今の時代はなかなかそういう作り手も少ないと思います。

京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれ、幼い頃から「人の記憶に残る仕事をしたい」と志した市岡さん。京都府立陶工職業訓練校を経て、煎茶道具や中国古陶磁を得意とした八代村田亀水氏(1927–2018)に師事し、七年間の修行を重ねました。1996年に美山で独立開窯し、2013年には単室薪窯を築窯。さらに2017年には中国・宜興にて紫砂急須の研修を行うなど、煎茶文化の源流をたどりながら研鑽を重ねています。師匠や家元の仕事や取引店への卸しを中心に、これまで手掛けた急須は三万点を超えるといいます。その数は単なる量の記録ではなく、一点一点に積み重ねてきた精進の証でもあります。

市岡さんの茶道具は、機能的な造形や装飾的な華やかさとは異なる、文人趣味の古格ある奥ゆかしさに支えられています。技巧を誇ることなく、しかし茶席における品格を保つその姿には、京都の深い煎茶文化と、茶の湯を支えてきた精神が静かに息づいています。このたび隠れ里の仙人のような市岡さんを川越にお迎えし、茶注(急須)をはじめ、涼炉、湯沸かし、茶入、茶巾台、茶托、茶合、茶通など、独自の煎茶趣味の世界観で統一された道具の数々をご紹介いたします。静かな美と深い精神性が息づく、市岡和憲さんの煎茶道具の世界を、ぜひご高覧ください。店主

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# by sora_hikari | 2025-12-06 17:00 | 市岡和憲展

「市岡和憲 煎茶道具展」7日目-2「市岡和憲 煎茶道具展」7日目-2

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市岡和憲 煎茶道具展」の7日目-2。

昨晩の月を思わせる神々しい気配をまとった磁土茶注「蒼月の露玉」。今展で唯一、銘を付した作品です。

市岡さんは長年、煎茶道具をつくる職人として歩む一方で、作家として「伝統工芸展」への出品を静かに続けてきました。請負ではなく、あくまで自身の表現と技量を世に問うための創作。その公募展では大作や技巧の競演が主流となる中、急須で勝負し続けることは容易ではありません。それでも研鑽を重ね、入選を重ねてきた道程が、この銘ある一作へと結晶しています。

今展の中でも上位の価格帯に位置づけられている理由は、作り手自身がこの作品に託した意味の深さゆえでしょう。とはいえ、お抹茶碗の世界と比べれば、煎茶器の価値はまだ控えめなものです。明治期はむしろ煎茶道具の方が高い社会的ステイタスを帯びていたこと、そして昭和初期、国力の伸長とナショナリズムの高まりとともに茶道の位置づけが再編されていった歴史を振り返ると、現在、煎茶や中国茶の精神性が再び注目される潮流の中で、価値の地図そのものがゆっくりと書き換わりつつあるのかもしれません。

その時代の転換点にあって、市岡和憲さんが煎茶道具の価値をリードする意義は大きいように思います。

会期は明日、12月6日(土)17時までとなりました。展示品は少なくなりましたが、凝縮された世界観はなお息づいています。どうぞ足をお運びください。

84.茶注「蒼月の露玉」(共箱)
胴径8.3/高さ9.9cm/容量190ml

詳細はオンラインストアでご覧ください。

【市岡和憲展オンラインストア】
販売期間:12月6日(土)21時まで

市岡和憲 煎茶道具展
2025年11月29日(土)~12月6日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6

経歴
1968年 京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれる
1988年 京都府立陶工職業訓練校修了
1989年 八代村田亀水に師事
1996年 京都府美山町にて開窯
2013年 単室薪窯築窯
2017年 中国 宜興で紫砂急須の技術研修
2025年 現在、京都府美山町にて作陶

解説
京都の山あい、茅葺きの里として知られる美山町。その静寂の中で、煎茶道具を作り続けているのが市岡和憲さんです。SNSやギャラリーで作品を目にする機会が少ないだけに、初めて工房を訪ねたときは「見つけた!」という喜びに満たされました。今の時代はなかなかそういう作り手も少ないと思います。

京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれ、幼い頃から「人の記憶に残る仕事をしたい」と志した市岡さん。京都府立陶工職業訓練校を経て、煎茶道具や中国古陶磁を得意とした八代村田亀水氏(1927–2018)に師事し、七年間の修行を重ねました。1996年に美山で独立開窯し、2013年には単室薪窯を築窯。さらに2017年には中国・宜興にて紫砂急須の研修を行うなど、煎茶文化の源流をたどりながら研鑽を重ねています。師匠や家元の仕事や取引店への卸しを中心に、これまで手掛けた急須は三万点を超えるといいます。その数は単なる量の記録ではなく、一点一点に積み重ねてきた精進の証でもあります。

市岡さんの茶道具は、機能的な造形や装飾的な華やかさとは異なる、文人趣味の古格ある奥ゆかしさに支えられています。技巧を誇ることなく、しかし茶席における品格を保つその姿には、京都の深い煎茶文化と、茶の湯を支えてきた精神が静かに息づいています。このたび隠れ里の仙人のような市岡さんを川越にお迎えし、茶注(急須)をはじめ、涼炉、湯沸かし、茶入、茶巾台、茶托、茶合、茶通など、独自の煎茶趣味の世界観で統一された道具の数々をご紹介いたします。静かな美と深い精神性が息づく、市岡和憲さんの煎茶道具の世界を、ぜひご高覧ください。店主

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# by sora_hikari | 2025-12-05 17:49 | 市岡和憲展

「市岡和憲 煎茶道具展」7日目-1

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市岡和憲 煎茶道具展」の7日目-1。

市岡和憲さんの茶席を彩る道具の数々。自作のものもあれば、古いものに手を加えて味付けしたものもあります。市岡さんの茶道具は、主となる急須だけでなく、その周辺を取り巻く全体の世界観で形成されていることが分かります。茶道具は単品で語るのではなく、取り合わせでセンスが問われます。文人好みの煎茶を俯瞰して捉える眼。これが市岡和憲さんの茶道具の趣きを導き出しているのです。

49.茶針、針置(アルミ/石) 長さ17/幅1.5cm
68.焼締茶入 径4/高さ10cm
91.蓋置き(缶付) 径4.5/高さ2.4cm
60.鉄釉建水 径13/高さ7cm/容量400ml
64.不銹鋼茶合 長さ13/幅4/高さ1cm
90.土絲燭台 径7.5/高さ7.5cm
66.茶托(五枚組) 幅9/奥行6/高さ2cm
35.自然石急須台 幅15/奥行9/高さ4cm
72.山土茶注(共箱) 胴径6.7/高さ8cm/容量100ml

詳細はオンラインストアでご覧ください。

【市岡和憲展オンラインストア】
販売期間:12月6日(土)21時まで

市岡和憲 煎茶道具展
2025年11月29日(土)~12月6日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6

経歴
1968年 京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれる
1988年 京都府立陶工職業訓練校修了
1989年 八代村田亀水に師事
1996年 京都府美山町にて開窯
2013年 単室薪窯築窯
2017年 中国 宜興で紫砂急須の技術研修
2025年 現在、京都府美山町にて作陶

解説
京都の山あい、茅葺きの里として知られる美山町。その静寂の中で、煎茶道具を作り続けているのが市岡和憲さんです。SNSやギャラリーで作品を目にする機会が少ないだけに、初めて工房を訪ねたときは「見つけた!」という喜びに満たされました。今の時代はなかなかそういう作り手も少ないと思います。

京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれ、幼い頃から「人の記憶に残る仕事をしたい」と志した市岡さん。京都府立陶工職業訓練校を経て、煎茶道具や中国古陶磁を得意とした八代村田亀水氏(1927–2018)に師事し、七年間の修行を重ねました。1996年に美山で独立開窯し、2013年には単室薪窯を築窯。さらに2017年には中国・宜興にて紫砂急須の研修を行うなど、煎茶文化の源流をたどりながら研鑽を重ねています。師匠や家元の仕事や取引店への卸しを中心に、これまで手掛けた急須は三万点を超えるといいます。その数は単なる量の記録ではなく、一点一点に積み重ねてきた精進の証でもあります。

市岡さんの茶道具は、機能的な造形や装飾的な華やかさとは異なる、文人趣味の古格ある奥ゆかしさに支えられています。技巧を誇ることなく、しかし茶席における品格を保つその姿には、京都の深い煎茶文化と、茶の湯を支えてきた精神が静かに息づいています。このたび隠れ里の仙人のような市岡さんを川越にお迎えし、茶注(急須)をはじめ、涼炉、湯沸かし、茶入、茶巾台、茶托、茶合、茶通など、独自の煎茶趣味の世界観で統一された道具の数々をご紹介いたします。静かな美と深い精神性が息づく、市岡和憲さんの煎茶道具の世界を、ぜひご高覧ください。店主

「市岡和憲 煎茶道具展」7日目-1_d0087761_00214648.jpg「市岡和憲 煎茶道具展」7日目-1_d0087761_00215084.jpg

# by sora_hikari | 2025-12-05 12:40 | 市岡和憲展

「市岡和憲 煎茶道具展」6日目-3

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市岡和憲 煎茶道具展」の6日目-3。

木米写茶注(もくべい・うつし・ちゃつぎ)、再び。

木米(もくべい)とは、江戸後期に活躍した陶工・青木木米(あおき・もくべい)のこと。日本における煎茶文化の成熟に大きく寄与した人物で、その急須は優雅で気品ある造形ゆえ、今も多くの愛好家を惹きつけます。売茶翁(ばいさおう)が日本煎茶の始祖であるなら、急須という器を切り拓いたのは木米――そのように位置づけてもよいでしょう。陶工でありながら、当時の知識層とも交流を持った文化的エリートでもありました。

その木米急須を、市岡和憲さんが写す。煎茶道に通じる市岡さんにとっては、ある意味で“あまりに王道”ゆえのためらいもあったようですが、そこをあえて踏み込み、今の時代に響くよう調律(チューニング)しています。茶道に例えるなら、長次郎の黒楽「俊寛」や赤楽「無一物」を、現代の感性で写しなおすような試み、と言えば近いでしょうか。

正面から見た注ぎ口の切れ、把手の角度などには、確かに「木米急須」を本歌とした姿が見て取れます。しかし緋色の発色やところどころに生まれる鉄斑、型取りによって浮かび上がる文様には、市岡さんならではの工夫が見られます。今展にあたり、あらためて煎茶文化の源流へと立ち返り、そこに自らの視点を重ねようとした市岡さんの意思が感じられる一品です。

12.焼締木米写茶注 胴径9/高さ8.5cm/容量230ml

詳細はオンラインストアでご覧ください。

【市岡和憲展オンラインストア】
販売期間:12月6日(土)21時まで

市岡和憲 煎茶道具展
2025年11月29日(土)~12月6日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6

経歴
1968年 京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれる
1988年 京都府立陶工職業訓練校修了
1989年 八代村田亀水に師事
1996年 京都府美山町にて開窯
2013年 単室薪窯築窯
2017年 中国 宜興で紫砂急須の技術研修
2025年 現在、京都府美山町にて作陶

解説
京都の山あい、茅葺きの里として知られる美山町。その静寂の中で、煎茶道具を作り続けているのが市岡和憲さんです。SNSやギャラリーで作品を目にする機会が少ないだけに、初めて工房を訪ねたときは「見つけた!」という喜びに満たされました。今の時代はなかなかそういう作り手も少ないと思います。

京都市嵯峨野の和菓子屋に生まれ、幼い頃から「人の記憶に残る仕事をしたい」と志した市岡さん。京都府立陶工職業訓練校を経て、煎茶道具や中国古陶磁を得意とした八代村田亀水氏(1927–2018)に師事し、七年間の修行を重ねました。1996年に美山で独立開窯し、2013年には単室薪窯を築窯。さらに2017年には中国・宜興にて紫砂急須の研修を行うなど、煎茶文化の源流をたどりながら研鑽を重ねています。師匠や家元の仕事や取引店への卸しを中心に、これまで手掛けた急須は三万点を超えるといいます。その数は単なる量の記録ではなく、一点一点に積み重ねてきた精進の証でもあります。

市岡さんの茶道具は、機能的な造形や装飾的な華やかさとは異なる、文人趣味の古格ある奥ゆかしさに支えられています。技巧を誇ることなく、しかし茶席における品格を保つその姿には、京都の深い煎茶文化と、茶の湯を支えてきた精神が静かに息づいています。このたび隠れ里の仙人のような市岡さんを川越にお迎えし、茶注(急須)をはじめ、涼炉、湯沸かし、茶入、茶巾台、茶托、茶合、茶通など、独自の煎茶趣味の世界観で統一された道具の数々をご紹介いたします。静かな美と深い精神性が息づく、市岡和憲さんの煎茶道具の世界を、ぜひご高覧ください。店主

「市岡和憲 煎茶道具展」6日目-3_d0087761_00214648.jpg「市岡和憲 煎茶道具展」6日目-3_d0087761_00215084.jpg

# by sora_hikari | 2025-12-04 21:00 | 市岡和憲展