遠くの町と手としごと 著:三谷龍二


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遠くの町と手としごと―工芸三都物語 (単行本)
三谷 龍二 (著)
出版社: アノニマスタジオ (2009/06発行)  ※Amazon

今年6月に発行された三谷龍二さんの書籍です。三谷さんが生まれ育った福井市、20代を過ごした京都、そして30代からの松本市の3つの街を軸に、手仕事や暮らしについて語った内容になっています。それぞれの街で手仕事に関わる方、ご自身の暮らしの周辺について書いておられます。人、物、暮らし、そういうことを静かな言葉で綴りながら、三谷さんの「作ること」と「暮らすこと」に対するしっかりとした考えが伝わってきます。各章ごとの三谷さんの見方は、単に手仕事だけをしている人に向けたメッセージだけではなく、普通の生活者にとっても大切な暮らし方のヒントがたくさんちりばめられているように思いました。生活を軸にして生まれる暮らしの道具の美しさ、ゆっくり見ることであらためて見えてくる暮らしの大切さなど、いくつもの染み込んでくる言葉があります。三谷さんの言葉の背景にあるような価値観は、今の時代に着実に定着しつつあるように思うのですが、それは新たな時代だから生まれてきたのか、それとも見失ったことをあらためて気付かせてくれているのかどちらなのだろうかと考えます。いずれであったとしても作る方にも使う方にも大切な暮らしの見つめ方がいっぱいつまった内容だと思います。本の中に書かれた言葉をいくつも手帳に書き写して、繰り返し反芻してみたいなと思います。

by sora_hikari | 2009-06-24 06:27 |

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