美しいこと 著:赤木明登


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美しいこと (単行本)
赤木 明登 (著)
出版社: 新潮社 (2009/04発行)  ※Amazon

今年4月に発行された塗師・赤木明登さんの著書です。季刊誌「住む」連載されていた赤木さんのコラムを編纂した書籍です。2006年に発行された「美しいもの」に続く第二弾となっています。赤木さんの知人の作家、料理家、ギャラリストなど15人の方々を紹介する内容になっています。いずれも仕事や暮らしの美意識の高い方々ですので、それぞれの人物を知ることも面白いのですが、それにも増して赤木さんがその方たちを通して「美しいこと」についてどういう視点で捉えているのかということが書かれていて興味深いと思います。各人の経歴や仕事を詳述するような内容ではなくて、その方たちの作っているものや、作っている行為に対して見えてくる美のあり様を、思索深い言葉で赤木さんが書いておられます。赤木さんのいくつかのコラムや書籍を読むと、美しさとは何かということを探究しているように思います。それは自分で作るものに対してであったり、このような書籍で紹介された作り手であったり。美しさの基準は、それぞれの人の経験の積み重ねから生まれる訳ですから、一般的にみれば相対的な価値感だと思うのですが、しかしそこを赤木さんは、より普遍的で絶対的な美しさがあるのではないかということを表現しようとしているように感じます。読み取り方はいろいろあると思うのですが、赤木さんの美への目の置き方を、この本を通じて共有することが出来たのは貴重な体験だったと思います。

by sora_hikari | 2009-06-24 05:39 |

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