渡辺遼さんの鉄もの

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六本木 ストライプハウス 2009年4月

渡辺遼さんの鉄のオブジェです。径3センチほどの小さなものです。鉄板を貼り合わせた円筒形。中に鉄粒がひとつ入っていて振るとからからと音が出ます。ころんとして種のような存在です。この個展が行われた際のタイトルが「とあるかけら」。まさに木からぽとりと落ちた欠片のようです。

※渡辺さんは5月30日、31日、長野県松本市で開催される「クラフトフェアまつもと」に出展されます。


※個展の際に掲示されていた渡辺さんの言葉です。

「とあるかけら」

そっと しずかに そこにある。
けれども たしかに そこにある。

不思議なものである。
さっきまで、きのうまで、あるいはずっと前、人との関わりがあったときには、そんな感じはしなかったのだけれど。葉っぱが木からおちて落ち葉になり、岩がくだけて石ころになり、ぶら下がっていた木の実も地面におっこちた。そして しずかに そっと そこにある。

自然のものでも、人の手からのものでも、あるじを離れた時の もの の存在というのはすごい。なんでもあるし、なんでもない。そっと しずかに そこにある。まっすぐ へなへな ぐにゃり ころん ごつごつ ぼてっ つるつる すらっと やさしくかたくなにただずんでいる。ひょいと一つ木の実をひろってみたら、コロロコロコロ・・・・・ 音がした。

木の実や石ころ、落ち葉や小枝のような気配のあるものをかたちにすることができたらなと思うのです。
歩いていて、ふと気になったものに出会えるのはやはりとても嬉しいものです。それをポケットにいれて家に持ち帰りちょっとしたところに置いてみたり、手の中でもてあそんでみたり。そっとたたずんでいたものに出会ってつい顔がほころぶ。そんな気持ちで手にとってご覧頂けたら幸いです。


by sora_hikari | 2009-05-07 21:02 | 渡辺遼さん

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