2009年 02月 21日
城進さんの個展 @ ロンダジル








神楽坂のラ・ロンダジル(ギャラリー)で開催されている城進さんの個展へ行ってきました。城さんは三重県の伊賀丸柱で制作されています。線刻した鉄縞模様が特徴的な城さんの器が並びます。さらに今回は新たな黒飴釉の器、灰釉白土の器も見ることができます。渋みのなかに、現代の食卓に合うモダンさを合わせた器です。陶芸家として専念される前に、3年に渡り50カ国もの国々を旅されていたそうです。それは特に陶芸を訪ねることを目的とした訳ではなく、いろいろなものを見て、経験する旅であったようです。いわば自分探しの放浪だったのでしょうか。そこで培われた精神性が今の器作りに具体的にどう結びついたかはわかりませんが、生きていくことの強さ、それはひとつの地に根を下ろし、ひとつのことに向かい続ける大切さと関係しているのかもしれません。広く、多くを知ることは、つまりは自分の身近な足元を見つめることと繋がるように思います。大学で学んだ陶芸の知識を、より自分の芯に据えて、生活と自己表現としての陶芸に取り組まれているように思います。伊賀に住みながら、伊賀焼に固執することはない。また民芸的な器にも特にこだわりを持っていないそうです。世界を旅した経験から生み出された器は、土地や伝統の起点を持たず、無国籍です。しかしそういう約束事に縛られなくとも、不思議に土着的な印象のある器です。土味、質感、形。日本人特有の温かみも伝わってきます。土着なモダンさ、といえばいいでしょうか。それは現代の生活に息づく民芸として、これから使う人たちの記憶に残っていくのかもしれません。
城進 陶展
2009年2月21日(土)~26日(木)
12:00~19:00 (最終日は18:00まで)
galerie La Ronde d'Argile (東京・神楽坂) ※ホームページ
by sora_hikari | 2009-02-21 22:31 | 城進さん