渡辺遼さんの個展 @ ブリキ星

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西荻窪のブリキ星で開催されている渡辺遼さんの個展へ行ってきました。長細い板状のもの、種のような立体のもの、小さな箱状のものなど、鉄で作られたオブジェが並びます。鉄板を切って溶接で貼り合わせ、表面を腐食させたり生漆を施してテクスチャーを出してます。面と面の繋がりは少し丸くて、独特のぬめりを感じます。鉄で作られているのですが、手に持つと意外に軽く感じます。それは鉄板を貼り合わせることで中が空洞になっているからです。見た目も手に持った感じも、とても不思議な存在です。鉄の持つ重量感が抜けて、どこか虚ろなぺラっとした感覚が、物体の主張を消しているように思います。どこかに落ちていても気づかないような感覚ですが、しかし作者の手によってきちんと生み出された造形です。彫刻というよりは、何かのパーツのような感じがします。渡辺さんは、美大ご出身ですが、専攻は空間演出系だったそうです。なので、このような鉄を使った立体物は学生時代には作っておらず、卒業後、鉄工所で仕事することで切削、研磨、溶接などの技術を身につけられたそうです。何げなく存在するものに惹かれるそうです。その辺に落ちている石や種のようなもの、古いものにも興味があるそうです。また小さいころは自転車やバイクのパーツなどに魅せられたそうです。外装がなくて剥き出しにされた部品から組み合わされて成り立つ全体。その中の部分、パーツ。こういうところに造形の原点があるのかもしれません。さりげなさを感じる造形物を作る。作為を感じないものを作為して作る訳ですから、とても矛盾したことになりますが、そこに作者の目や意識がどう向いているのかが興味深いところです。渡辺さんの作るオブジェを外形的に簡単に作るのであれば、陶土や木材の方が可塑性に富んで自由度もあると思うのですが、それはやはり鉄であることに意味があるそうです。それも鉄を無垢に削り出して作るのではなくて、鉄板を貼り合わせることによって出せる軽い感覚が良いのだそうです。「てつっぺら」。DMに掲載された作品のタイトルがそれを表していると思います。面白いのは、製作していく過程で、一度立体物にした段階で、表面を綺麗に磨いてピカピカにして暫く時間を置いて眺め直すらしいです。その過程は作品を完成させる上では、実は必要がないらしいのですが、そうすることで一旦、その形を客観的に見つめてみたいからだそうです。これは、作っていく過程で入り過ぎてしまう自分の感情や魂を一度抜いてしまって、純粋な造形物に仕立て直そうとする行為なのかもしれません。作者だけがわかる繊細なバランスの中で成り立っている物体への美意識なのだと思います。あまり売れるようにとは思って作っていない。決して独善的な言葉ではなく、謙虚に静かに語ってくれました。そういう純粋な気持ちが作品から伝わってくる展示会でした。


渡辺遼 展
2009年1月28日(水)~2月7日(土) ※月火休み
12:00~19:00 
ブリキ星(東京・西荻窪) ※ホームページ

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※個展に向けられた渡辺さんの言葉です。

石ころのようなものをつくりたい
だれかにひろわれて
そっとポケットにいれておいてもらえるような。
木の実のようなものをつくりたい
だれかにひろわれて
ちょっとしたところにおいておいてもらえるような。
しずかに そっと たたずんでいるものを。


by sora_hikari | 2009-01-31 07:01 | 渡辺遼さん

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