2008年 12月 17日
棚橋祐介さんの個展@さる山








元麻布のさる山さんで開催されている棚橋祐介さんの個展へ行ってきました。2006年に棚橋さんがこちらで初個展を開催してから今回で2回目になるそうです。当時デビューするにあたって、自らこの場にこだわりを抱き、ご店主の猿山さんとのお話合いで実現をしたのだそうです。今や多くの方に知られる棚橋さんですが、2年と少しを経て今回はまた新たな気持ちで臨まれているのだと思います。展示された器は、侘びた色合いの白い器ばかりです。静かにそこにある、といった感じでしょうか。外見的に大きく主張するよりも内側に向かって抑えた姿がキリリとしています。古器のような釉調で全般的に薄造り。口のエッジの処理やシルエットに見るラインは、緊張感があり美しいです。薄く作るために粘土が乾燥した段階で削りを行うそうですが、すべての器を同じように揃え過ぎないそうです。手で作ったことと量産したものの間ぐらいで止めることで情緒性を保たせているのかもしれません。今回展示された器には、「型打ち」という手法で作られた八角形をしたお皿が印象的です。古い伊万里のような形でもあり、欧州のお皿のようにも感じます。そんな形に柔かい肌色の釉薬がかかり、ところどころに貫入へ染み込みが入り落ち着いた表情を作っています。その他には、筒状のカップ、広口の碗、陶板、蓋付きの小壺などを見ることができますが、作風を広げるのではなく、全体の関連性やディテールの在り方を絞り込んでいるように感じました。もしかしたらそういう意味で新たな原点回帰という意識もあったのかもしれません。棚橋さんの器への視点と猿山さんの美意識と合わせて感じることのできる展示会だったように思います。
棚橋祐介 展 「型打ちによる皿を中心に」
2008年12月17日(水)~12月23日(火) 会期中無休
13時~18時
さる山 (東京・元麻布) ※ホームページ
名古屋のギャラリーfeel art ZEROで猿山さんが参加する企画展が開催されています。
「hommage(オマージュ)」
・辻徹(写真家)
・前川秀樹(美術家)
・猿山修(デザイナー)
・井藤昌志(木工作家)
2008年12月13日(土)~28日(日) ※火曜休
12時~18時
gallery feel art ZERO (名古屋市) ホームページ
by sora_hikari | 2008-12-17 23:09 | 棚橋祐介さん