2008年 12月 05日
増田勉さんのうつわ




吾妻橋 土庵 2008年11月
増田勉さんの器4点です。増田さんは粉引、刷毛目、黒釉、三島手、織部、赤絵など幅広くお作りなります。その中でも林檎の木の灰を使った粉引や刷毛目の器の印象が強いのですが、この4つの器は、それとはまた別の表情をした増田さんの器になります。上の片口は籾灰を作った器。たっぷりとかかった釉薬の溜まりのところが薄緑青になって綺麗です。形もゆったりとしたろくろで堂々としています。2番目のものは、三島手の湯呑。さらさらと掘り込まれた模様に化粧土が軽く残り、全体に落ち着いたグレーになっています。ツイードのジャケットのような雰囲気を感じます。下の2点は黒釉の中鉢と小壺。増田さんの黒はしっとりと艶を抑えた黒で、ところどころの釉の厚さによって深い緑色の箇所が混ざり合っています。中鉢はゆっくり波打つようにたわみ、流れるような動きを感じることができます。壺の方は小さいながらバランスの良い形で肩に付く耳が印象的です。それぞれの器に特徴が出ていますが、形や雰囲気はベーシックな表現をされていて、とても落ち着いた印象で繋がっています。大人が作る大人の器。それが増田さんの魅力だと思います。
by sora_hikari | 2008-12-05 01:34 | 増田勉さん