2008年 10月 06日
須田二郎さんの個展@SHIZEN
千駄ヶ谷のSHIZENさんで開催されている須田二郎さんの個展へ行ってきました。須田さんは東京八王子で木の器を制作されています。元々は、夏には農業を、冬には林業を仕事としていたそうですが、10年前に木工旋盤を買い、独学で木の器づくりを始められたそうです。須田さんの使う木は、雑木林などで不要になって切り倒された木や、森の間伐材を使っているそうです。そういう木は、曲がっていたりして価値は低く、市場に出してもパルプ材として100円程度で取引きされてしまうのだそうです。そういう木を敢えて器とすることに、こだわり持っておられるのか、それとも入手のし易さから選んでおられるのかわかりませんが、なんとなくそういう見放された木への愛情が根底にあるような気がしてなりません。須田さんの風貌も生来の木こりのような、いや森のくまさんのような、、なんだか木とともに生活があるのがとても自然に感じられますし、慈しみをもって木の器づくりをされているように思うからかもしれません。今回の展示された器も、そういう木に対する自然体で飾らない様子がそのまま表れた、とても健やかな器ばかりです。ボウル、プレート、お盆、カトラリー。油ものも、汁ものも大丈夫だという木の器。日常生活のなかで、どんどん使って深みが増していく器だと思います。ボウルの流れるようなライン、リム皿の滑らかな面など形も綺麗ですし、自然なオイルで仕上げられた手触りの質感も良いです。器を見ていると、雑木だったとは思えない木の持つ美しさにみとれてしまいます。須田さんの手によって捨てられる木が、新たに人の生活用具として高められた、そういう神聖な気もしてきます。展示品の横に添えられた手書きのPOPも、自分の言葉で書かれていて、自分のつくったものを、きちんと使い手に橋渡しをしていきたいという思いが伝わってきました。今回は体験できませんでしたが、期間中は小皿づくりのワークショップをお店の外でやっているそうです。そういうお仕事の姿が垣間見れるのも貴重かもしれません。お店に広がる木やオイルの香りが心地よい展示会でした。
須田二郎 木のしごと展
2008年10月4日(土)-10月9日(木)
12:00-19:00(最終日は17:00まで)
~小皿を作る~ ワークショップ
SHIZEN (千駄ヶ谷) ※ホームページ
須田さん手書きのDM。拡大はこちら
by sora_hikari | 2008-10-06 00:42 | 須田二郎さん