前川秀樹さんの個展


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南青山のDEE'S HALLで開催されている前川秀樹さんの個展へ行ってきました。1年半前にこの場所で行われた像刻展の2回目です。前川さんは、ドローイング、オブジェ、家具作品など幅広く手掛けられるマルチなアーチストですが、その中でも像刻は、ここ数年から取り組まれている人の形をした彫刻作品になります。以前は、人の形の彫刻をするにはためらいがあったそうですが、歳を経て素直に向かうことができるようになったとお聞きしました。そんな像刻展にお伺いするのは、今回が2回目ですが、いろいろな面で圧倒される内容でした。展示数は34体。これを制作するのに取りかかったのは今年の4月になってから。なんと1ヶ月半でこれだけの点数を作られたことに驚きます。しかもひとつひとつの作品の完成度が高く、とても短期間に作られたものとは思えません。スケッチは1年半の間に描き貯めておられたそうですが、実際に木を削り出していく過程では、そのスケッチを見て忠実に形にするのではなく、そこにある木から得られるインスピレーションで作っていかれるそうです。前川さんのお言葉ですが、木を削っていくというよりも、木の中にすでに形があり、その周りを自分が取り除いていくような感覚だとのことでした。作業が進むと迷いもなく、チェンソーでぎりぎりのところまで刃を入れて形づくり、そのあと細かく仕上げていく。木の中の何かから呼ばれているのかもしれません。今回の展示会のテーマは「水源」。近年は、水から刺激を受けた作品が多いようです。これは前川さんが主宰されるルビジノという霞ヶ浦のそばにあるギャラリーの影響もあるのかもしれませんが、水から受ける目に見えない繋がりが前川さんの深いところに何かを伝えているようです。以前から海辺から拾い上げていたものを使った作品づくりをされていたそうですが、今回の「水源」は海ではなく、どちらかといえば淡水の水。沼や湖。山奥のひっそりと落ち葉がたまった静かな黒い水。そんな「水源」を感じるそうです。今回の展示作品の外見からは、直接的に水の表現を見ることはできませんが、それぞれの作品タイトルは水に関連する言葉が使われており、確かに前川さんの中では、「水」の持つ神秘性から啓示を受けて作品を生み出されているようです。これらは昔からどこかで見ていた風景で、今回の彫刻はその景色の中にある人物のようだとのことでした。そんな前川さんの心象世界から作りだされた像刻の数々。それぞれの作品の持つ動きや勢い、深遠な表情、静かな魂、まるでその彫刻から息づかいが聞こえてくるようです。これだけ集合した作品を見れることはないので、とても貴重な体験ができる展示会でした。


前川秀樹・像刻展 「水源」
2008年5月23日(金)-30日(金)
12:00-20:00 (日曜・最終日は18:00終了)
DEE'S HALL (南青山) ※HP

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※前川さんのblog


by sora_hikari | 2008-05-28 07:32 | 前川秀樹さん

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