濱中史朗さんのカップ


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元麻布 さる山 2008年2月

先日、さる山さんで開催された濱中史朗さんの個展の際のものです。白い器を中心に作られていましたが、今回の個展では「黒」をテーマに、このような金属を混合させた釉薬を使った「黒い器」を展示されていました。マットな金属釉でブロンズのような質感です。磁器土をろくろで引き揚げ、その勢いを止めぬまま口縁や胴にその手の流れが残っています。形は高台部から上に向ってすっと開き、シルエットが彫刻のようにも見えます。好きな作家がブランクーシとあったので、削ぎ落とされた形には、そういう影響があるのかもしれません。手作りの器は、通常は使う側への協調性を前提に作られることが多いと思いますが、濱中さんの作る器は、どちらかというと、その関係性を突き放した痛さを伴う美しさを感じます。器の根源に骨を感じているという話を読みましたが、そういう視点で器を見ると、肉を削ぎ落としその芯にある骨のような感じも受けます。萩という伝統の地の窯元で育ちながら、お兄さんは服飾のデザインを、妹さんはジュエリーデザイナーをという環境もあるのでしょうか、濱中さんの器には、クラフトというよりもアパレルのようなアプローチを感じました。濱中さんの思考の一端を知る上でWebマガジンのOPENERSに連載された記事も面白いです。

by sora_hikari | 2008-03-13 23:06 | 濱中史朗さん

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