2026年 05月 13日
「梶原靖元展 唐津ぬらりひょん」5日目








「梶原靖元展 唐津ぬらりひょん」の5日目。
昨晩よりオンラインストアを公開しました。早速ご注文くださいました皆さまに御礼申し上げます。お品物は本日発送済みです。お届けまでの間しばらくお待ちください。
写真は、越州窯青磁を纏った蓮弁鉢。見込みには軽やかなタッチで、人物画が彫られています。これは唐代の胡人像か、李朝民画の引用かは聞きそびれましたが、軽妙な異人像が楽しいです。整い過ぎない手びねりの輪郭、青磁釉の淡い陰影。それらが相まって、この鉢に洒脱で親密な表情を与えています。今展の趣向に引き寄せるなら、急須を置く茶承としてお使いいただくのもよいかもしれません。茶の雫を受け止めながら、見込みの異人が現れる様子は、まるで茶席の中に小さな物語が立ち上がるようです。
【梶原靖元展オンラインストア】
販売期間:5月16日(土)20時迄
梶原靖元展 唐津ぬらりひょん
2026年5月9日(土)~16日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1962年 佐賀県伊万里市生まれ
1980年 唐津焼太閤三ノ丸窯に弟子入り
1986年 京都 平安陶苑にてクラフトを習う
1989年 大丸北峰氏に師事して煎茶道具を習う
1997年 佐賀県唐津市相知町に穴窯築窯
2026年 現在、唐津市相知町佐里にて作陶
解説
唐津の奇才、梶原靖元さんによる五回目の展示会を開催いたします。古唐津の定説に疑問を投げかけ、かつての陶工たちが実践していた土作りや窯焚きの方法を丹念に研究し、その原理に立ち返ることで当時の姿を現代に再現してきた梶原さん。周囲の評価に左右されることなく、自らの仮説を信じ、行動によって結果を導き出すその姿勢は、一貫して変わることがありません。
しかしその歩みは、ひとつの成果に安住することを良しとしません。古唐津の再現が高く評価されるや否や、その関心は源流である韓国や中国の古陶へと広がり、さらには日本各地の土を用いた制作や、軽やかな絵付けの磁器へと展開していきます。何かを掴んだと思えば、次の瞬間にはするりと手放し、また新たな探求へと向かう。まるで妖怪ぬらりひょんのように、気づけば別の場所に現れ、こちらの思考をすり抜けていくかのようです。
その捉えどころのなさこそが、梶原さんの創作の本質なのかもしれません。本展では、京都での修業時代に培われた経験を背景に、煎茶道具を中心とした作品群が並びます。過剰な造形や装飾を排した器は一見素朴でありながら、素材と焼成の必然から立ち上がる確かな存在感を宿しています。その器は完成された様式を示すというよりも、むしろ見る側の感性を静かに試す存在です。
かつて焼き損ないとされた碗に侘びの美を見出したように、私たちはそこに何を見出すのか。作品の背後にある思想や過程に思いを巡らせることで、新たな視点が立ち現れてくるでしょう。絶えず更新され続ける梶原靖元という作家の現在地。本展が、その思考と実践に触れる機会となれば幸いです。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。店主


by sora_hikari | 2026-05-13 18:00 | 梶原靖元展2026

