2026年 01月 29日
「日高伸治展 翠象仏心」6日目








「日高伸治展 翠象仏心」の6日目。
日高伸治さんが拘ってきたアイテムのひとつが花入れ。日頃から自ら花をいけていますが、その花の姿に日高さんの空間認識が顕れています。そう、花そのものというよりも、それを構成する「間(ま)」のとり方です。
この写真にある「青磁象嵌花文梅瓶」で見て欲しいのは掠れた草花の文様。本歌となる高麗青磁の梅瓶は、もっと緻密に彫り込まれた象嵌文が多いですが、日高さんのこれは立ち姿は踏襲しながらも、絵柄に於いては「間(ま)」とった楚々とした線による独自の哀愁ある感覚がいきています。
他の花入れも同様に、古典に発しながら、どう周辺の空間に溶け込むかという自分の造形感覚でまとめあげている。この辺りが、日高さんの加減の上手さなのでしょう。前に出過ぎず一歩引く。この抑制があるから、結果的に花が生きてくる。そう思います。
【日高伸治展オンラインストア】
販売期間:2月1日(日)20時まで
日高伸治展 翠象仏心
2026年1月24日(土)~31日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
プロフィール
1972年 愛知県豊田市生まれ
1997年 東京藝術大学大学院油画修了
1998年 ゲームエンタテインメント会社勤務(12年間)
2011年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2026年 現在岡山県備前市在住
解説
中国では古来、青磁の理想色は翡翠のような澄んだ“翠”にあり、韓国・高麗青磁には国教であった仏教の精神が深く息づいています。この度、日高伸治さんの個展テーマ「翠象仏心(すいしょうぶっしん)」としたのは、そうした青磁の歴史に宿る思いを踏まえ、「翠=翡翠色」、「象=その姿を象る文様」、そしてそこに静かに潜む「仏心」を一つの言葉に結び上げたものです。
岡山県備前市で作陶する日高さんは、初期にはベトナム古陶磁への関心から出発し、やがて高麗・宋代へと視野を広げてきました。古陶磁を学びつつも単なる写しではなく、独自の草花文様や古色を帯びた質感に心を砕き、展示会のたびに作品世界はより深く、陰影を増しています。古典を咀嚼し、自身の表現へと昇華させようとする姿勢。その造形の奥で、物質に宿る祈りのような気配を捉えようとする眼差しに、作り手・日高伸治という人物が静かに浮かび上がります。
日高さんは東京藝大で油画を学び、卒業後はゲームデザイナーを経て陶芸の道へ進みました。出発点は暮らしの器でしたが、近年は古陶磁の骨格を臨書するように吸収し、青磁を中心に装飾の幅を広げています。ただし、その意匠や色調は華やかさを追うのではなく、あくまで抑制的です。内面へと沁み込むような静かな衝動を形にするところに、日高さんの作品の魅力があります。物質としての器を越え、“かたちの奥にある心” を見つめる「翠象仏心」の世界をどうぞご高覧ください。店主


by sora_hikari | 2026-01-29 18:00 | 日高伸治展2026

