2026年 01月 16日
「外池素之展 融景」7日目-3
「外池素之展 融景」の7日目-3。
激しい表情の外池素之さんの焼き物。原土に含まれる鉄分が還元炎によって表層へと吹き出し、化粧土や釉薬となる木灰の成分が融け合うことで、偶然と必然が重なり合った複雑な景色が生まれます。それは人為を超えた、土と火の対話の痕跡と言えるでしょう。
かつて生活工芸全盛期には、抑制された静かな表現が好まれてきましたが、近年このような強い焼きの器も、自然なかたちで受け入れられるようになっています。環境音楽のように日常に溶け込み、境界なく調和する音がある一方で、時には心を揺さぶるパッションに満ちた音楽を求めることがあるように、器においても選択の幅が確かに広がってきたと感じます。どちらか一方ではなく、両極が併存してこそ、器の文化はより豊かなものになるのでしょう。
そして外池さんの「焼き」の強さは、自然素材から引き出された色合いと質感によるものだからこそ、料理を盛り付けたとき、不思議なほど深い味わいをもってそれを引き立てます。それは人工的な電子音のような不協和ではなく、古代の打楽器が放つような、魂を揺さぶる内面的な強さなのでしょう。
会期は明日1月17日(土)17時までとなりました。実際に手に取ってご覧いただける最終日となります。当初より点数は少なくなっておりますが、まだお選びいただけるものはたくさんございます。どうぞここ川越までお出掛けください。
【外池素之展オンラインストア】
https://utsuwanoteshop.stores.jp/
販売期間:1月17日(土)21時まで
外池素之展 融景
2026年1月10日(土)~17日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1992年 愛知県大府市 生まれ
2014年 愛知大学地域政策学部卒業
2014年 広告代理店勤務
2019年 とこなめ陶の森 陶芸研究所修了
2026年 常滑を拠点に製作活動
解説
自然の木灰を重ね合わせ、窯火によって融け合う瞬間に立ち上がる景色。この外池素之さんの器の作行を「融景(ゆうけい)」と表しました。木灰の成分が原土と出会い、焼成の最中に融け流れ、絡み合い、思いも寄らぬ表情を見せる。その景色は、作為を超えた自然のはからいであり、ときに宇宙のガス星雲のような神秘を湛えます。
外池さんの器づくりは、常滑・瀬戸・岐阜といった中部地方の原土をブレンドし、檜・樫・いちじく・藁・雑灰など、多彩な木灰を釉薬として掛け合わせることから生まれます。二種以上の灰を施釉することで、窯の中で成分が反応し、深く複雑な景が生まれるのです。自然の “割り切れない変数” は、人の手で完全に制御できるものではありません。それゆえ窯出しのたびに喜びと苦労が交互に訪れますが、その予測不可能な結果が器に唯一の生命を吹き込みます。
外池さんとのご縁は2022年の「沢田重治と外池素之展」に遡ります。とこなめ陶の森 陶芸研究所で勤務していた頃、沢田重治さんの壷と出会い、その収集や企画への献身的なご協力を得て実現した展示でした。愛知県大府市に生まれた外池さんは、大学では江戸期の古文書研究を専門にし、お伊勢参りの道中記から庶民の生活を読み解いていたといいます。歴史をひもとく面白さは、現在の器づくりにもどこか通底しているのでしょう。卒業後は広告代理店に勤めましたが、自らの手で完結する仕事への憧れから退社し、とこなめ陶の森 陶芸研究所で陶芸を学び、助手を経て、2019年より作家として歩み始めました。
今展では、自然灰を掛け流した外池さんの代表的な「融景」の器をはじめ、近年力を入れている急須もご覧いただけます。前回以上に作品の力強さが相まって、国内外の多くの方々に響いていることを実感しています。自然と対話し、謙虚に器と向き合う外池素之さんの仕事に、ぜひ触れていただければ幸いです。店主
by sora_hikari
| 2026-01-16 18:00
| 外池素之展2026
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