2025年 07月 11日
「北川和喜展 Plant Pots and Tableware」7日目






写真は岐阜県多治見市にある北川和喜さんの工房風景です。鋳込み工場の2階を間借りした広々とした空間で制作を行っており、内部には鋳込み用の石膏型や完成品が整然と並ぶほか、ご自身が育てたサボテンが所狭しと配置されています。この植物の存在が、一般的な陶芸家の工房とは異なる独自の雰囲気を生み出しています。
かつてであれば、北川さんのような制作スタイルは製陶所の領域に属するものでした。しかし現在、彼はデザイナー、作家、工場という従来の枠組みにとらわれず、それぞれの役割を積極的に越境しながら取り組んでいます。その姿勢からは、従来の陶芸家像とは異なる、新たな作り手のあり方が感じられます。
北川さんにとって、プロダクト的なアプローチは「作り手の個性を薄めること」ではなく、「型による再現性があってこそ、多くの人に届けられる力がある」という信念に基づいています。自身のスタイルに閉じこもることなく、人の言葉に耳を傾け、関係を広げていく姿勢は、陶芸における「作り手」と「伝え手」の境界をますます曖昧にしているようにも感じられます。
会期は明日7月12日(土)17時までとなりました。どうぞこの機会にご来店頂ければ幸いです。
【北川和喜展オンラインストア】
販売期間:7月12日(土)23時まで
北川和喜展 Plant Pots and Tableware
2025年7月5日(土)~12日(土)
11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1991年 京都府京田辺市生まれ
2014年 京都精華大学デザイン学部卒業
2016年 岐阜県多治見市陶磁器意匠研究所修了
2016年 多治見市の陶器商社勤務
2020年 多治見市にて独立
2025年 現在同地にて作陶
解説文
岐阜県多治見市在住の北川和喜さんによる、2回目の個展を開催いたします。北川さんは泥漿鋳込み(でいしょういこみ)という技法を用いて作品を制作しています。顔料を加えて着色した液状の磁土を、石膏型に何度も注ぎ重ねることで下地に多彩な色の層を作り出すものです。乾燥後、その表面をシャープに削り出して焼成することで独自のカラーパターンが生まれます。大学ではプロダクトデザインを学び、卒業後は多治見市の意匠研究所でさらに研鑽を積みました。修了後は陶器の商社に勤務し、営業やデザインの仕事に4年間従事。その後、2020年4月に独立し多治見を拠点に制作を続けています。作家としての強い憧れよりも、メーカーやショップの人たちと対話しながらものづくりをしていく「デザイナーと作家の間の仕事」に関心を持ち続けてきました。自然素材や薪窯を用いる伝統的な陶芸よりも、意図的に計画されたデザインに惹かれ、同じ形を繰り返し生み出せる泥漿鋳込みの手法を選んだのもそうした考えからです。学生時代、沖縄・美ら海水族館で傷ついたイルカに人工の尾びれを装着し、再び泳げるようにしたというニュースに感銘を受け、現地まで訪ねたことがあるそうです。その体験を通して「命を救うデザイン」の尊さを実感し、卒業後には義肢装具の会社で研修を受けた経験も持ちます。北川さんにとって、プロダクト的アプローチとは決して作り手の想いが薄れるものではなく、むしろ「かたちが定まっているからこそ、多くの人に届く力がある」と信じています。本展では、植木鉢や花器をはじめ、カップ、マグカップ、ボウル、飯碗、小皿などの食器も多数展示いたします。夏を迎えるこの季節、明るくポップな作品をぜひご覧ください。店主


by sora_hikari | 2025-07-11 18:00 | 北川和喜展2025

