2025年 05月 31日
「稲吉オサム展 渥美古窯人生劇場」ありがとうございました















「稲吉オサム展 渥美古窯 人生劇場」は本日をもちまして終了しました。会期中ご来店下さいましたみなさま、ネットを通じてお選びくださいましたみなさまに心より御礼申し上げます。尚オンラインストアは本日(5/31)20時までご利用いただけますのでお見逃しの方はどうぞご覧ください。
情報が氾濫し、世の中の動向に流されやすい現代において、稲吉オサムさんの「世間と距離をおいたものづくり」の姿勢には、どこか不思議な魅力を感じます。彼の創作は、経済活動や市場の動向に左右されることなく、生き方そのものに重きを置いているようです。自分にとって意味のあることを直感的に選び取り、実践してきたその姿を尊く感じています。
稲吉さんは、陶芸においても単に作品をつくるだけでなく、土づくりや窯づくり、さらには地域の人々との共同作業といった、制作にまつわるすべてのプロセスに関心を持っています。現在取り組んでいる完全地下式の窯づくりも、手掘りと仲間たちとの労働によって成り立っており、そのプロセスこそが「自分の仕事」だと語ります。
「ずっと何かが違う」と感じながら歩んできた人生。その違和感が導いたのは、地元の博物館で出会った地味な考古物たちでした。彼はそれらの謎を解き、再現することを現在のライフテーマとし、その過程自体を大切にしています。
興味の対象も独特です。昭和時代の銀幕スターや、炭鉱労働者、特攻隊員たちが綴った随筆など、今とは異なる時間の中にある言葉に、リアルな感覚を見出しているようです。
本展の初日を見届けた翌日には、かつて足尾銅山の公害で枯れた山に苗木を植えるため、栃木県へと赴き、植樹のボランティアに参加していました。本人は「社会運動家ではない」と話しますが、その日々の関心やものづくりへの視線には、どこか弱者に向けられたまなざしを感じます。それは優しさというよりも、社会の歪みから懸命に立ち上がろうとする人々の労働への共感と呼ぶべきものかもしれません。
もともと焼き物の仕事は肉体を酷使する過酷な労働でした。稲吉さんは作品を購入する側の「ブルジョワジー」と、作り手である自分自身の「プロレタリアート」との関係を自覚しながら、それが良い焼き物を生み出す原動力になると考えているように思います。
これからも稲吉オサムさんの活動にぜひご注目ください。この度は誠にありがとうございました。
【稲吉オサム展オンラインストア】
販売期間:5/31(土)20時迄
稲吉オサム展 渥美古窯 人生劇場
2025年5月24日(土)~31日(土)
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1976年 愛知県豊橋市生まれ
2002年 愛知県立窯業技術専門校修了
2002年 美濃焼の窯元で学ぶ
2007年 豊橋市にて築窯
2025年 現在同地にて渥美古窯再現に取り組む


by sora_hikari | 2025-05-31 18:05 | 稲吉オサム展2025

