2025年 05月 15日
「磯松大悟展 信而好古」6日目


「磯松大悟展 信而好古」の6日目。
三本の足と対になった耳を持つ壺。こうした身体の部位に由来する名称は、古くから焼き物に見られる伝統的なスタイルです。もともとは、三点支持による安定性や、加熱効率を高めるための構造、さらには持ち運びや吊るしに便利な機能性を備えていました。やがて、これらの形状には象徴的な意味が加わります。「三」は陰陽五行思想における天・地・人を表し、宇宙的な調和の象徴とされ、「双」は対によるバランスや秩序といった精神的・美的価値を持つようになります。
現在では、こうした形状は装飾的な意味合いが強くなっていますが、足や耳が付くことでどこか人の姿を思わせ、愛嬌のある佇まいを見せてくれます。とはいえ難しく考える必要はありません。そっと花を挿して自然に楽しむのが良いと思います。。
28.青白磁三足壺 径16.5/高さ10cm
29.青白磁双耳壺 径9/高さ9cm
【磯松大悟展オンラインストア】
販売期間:5/17 23:00迄
磯松大悟展 信而好古
2025年5月10日(土)~17日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
プロフィール
1986年 山口県萩市にて陶芸家の家系に生まれる
2008年 武蔵野美術大学彫刻科中退
2009年 萩焼作家のアシスタント
2020年 京都に居を移す
2022年 京都府立陶工高等技術専門校修了
2025年 現在、京都市東山区にて作陶
解説
京都で作陶する磯松大悟さんの初個展です。彼の作品は静謐な佇まいを持つ青白磁や白磁を中心に展開されています。作風には李朝や宋代の影響を感じさせる一方で、京都で学んだ和の要素も随所に織り込まれています。無駄を削ぎ落とした単色の器は、外見こそ寡黙ながら、その静けさゆえに鑑賞者の感性が問われます。自己を主張しすぎることなく、むしろ心の鏡のように、見る者の内面を映し出す存在ともいえるでしょう。静寂の中に言葉が宿り、単色の奥に豊かな色彩が広がります。孔子の『論語』にある「信而好古(しんじていにしえをこのむ )」は、「述べて作らず。信じて古を好むが、自分の考えを付け足さない」という意味ですが、これは単なる古典の模倣ではなく、「非主体的な精神性の中に主体性を見出す」姿勢とも解釈できます。磯松さんは職人としての在り方を大切にしながら、京都ならではの美意識を備えた割烹の器を作りたいと語ります。食器の口縁や壺の肩に生まれる僅かな釉溜まり、細部に宿る緊張感と微細な変化が、見る者の心に静かに響きます。自身の出自との相対性を見つめながら、「素」から出発し、器に自身の存在を溶け込ませることを志向する。その姿勢からは、焼き物への深い探求心と静かな気概が感じられます。本展は磯松さんにとって新たな一歩となる記念すべき個展です。李朝陶を手がける多くの陶芸家の中で、彼が追い求める静寂の果てはどこへ向かうのか。その行方を、この出発点から見届けるのもまた興味深いことでしょう。ぜひご高覧いただければ幸いです。店主


by sora_hikari | 2025-05-15 18:14 | 磯松大悟展

