「磯松大悟展 信而好古」5日目

「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_16225391.jpg

「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_16225674.jpg

「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_16225839.jpg

「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_16230093.jpg

「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_16230330.jpg

「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_16230687.jpg


磯松大悟展 信而好古」の5日目。

昨晩よりオンラインでの販売を開始いたしました。ご注文いただきました皆様に心より御礼申し上げます。今展では、5~6寸サイズの皿や鉢、程よい大きさの湯呑などを中心に取り揃えております。お料理屋様をはじめ5~6客揃いでのご用意も可能ですので引き続きご覧いただけますと幸いです。

以前、京都の磯松さんのご自宅を訪ね、お話を伺った際「割烹の器を作りたい」という一言が印象的でした。それは作家性を強く押し出すのではなく、料理に従う「器」でありたいという姿勢の表れであり、そこに共感を覚えました。磯松さんの言葉には「謙譲を美徳とする」日本の美意識が通っています。自己主張を抑え、あくまで主役である料理に寄り添う器。その思想は「打ち込み=型打ち」の食器への関心にもつながっていると感じました。型に倣い、先人が遺したかたちを尊重し、個性をその中に沈める。あえて「定形」に身を委ねることで生まれる品格があります。宋磁の端正なライン、李朝の柔らかな揺らぎ、江戸期の器に宿る静かな緊張感。それらすべてを深く見つめ、吸収し、その上で「今、器としてどう在るべきか」を模索しているのです。磯松さんの器は、一見なんてことはないようでいて、よく見ると随所に工夫が潜んでいます。粗野な手触りの中に、ふとした瞬間に品を感じさせる。決して華やかではないけれど、割烹の空間にふさわしい、微かな緊張感をもった“間”が宿っているのです。今回の器はジャンルや時代を越えて名品の数々から受けた影響が脈々と流れています。作家というより、職人。意図を消し、無垢であろうとするその姿勢に、静かな強さを感じるのです。

【磯松大悟展オンラインストア】
https://utsuwanoteshop.stores.jp/
販売期間:5/13 20:00~5/17 23:00迄

磯松大悟展 信而好古
2025年5月10日(土)~17日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

プロフィール
1986年 山口県萩市にて陶芸家の家系に生まれる
2008年 武蔵野美術大学彫刻科中退
2009年 萩焼作家のアシスタント
2020年 京都に居を移す
2022年 京都府立陶工高等技術専門校修了
2025年 現在、京都市東山区にて作陶

解説
京都で作陶する磯松大悟さんの初個展です。彼の作品は静謐な佇まいを持つ青白磁や白磁を中心に展開されています。作風には李朝や宋代の影響を感じさせる一方で、京都で学んだ和の要素も随所に織り込まれています。無駄を削ぎ落とした単色の器は、外見こそ寡黙ながら、その静けさゆえに鑑賞者の感性が問われます。自己を主張しすぎることなく、むしろ心の鏡のように、見る者の内面を映し出す存在ともいえるでしょう。静寂の中に言葉が宿り、単色の奥に豊かな色彩が広がります。孔子の『論語』にある「信而好古(しんじていにしえをこのむ )」は、「述べて作らず。信じて古を好むが、自分の考えを付け足さない」という意味ですが、これは単なる古典の模倣ではなく、「非主体的な精神性の中に主体性を見出す」姿勢とも解釈できます。磯松さんは職人としての在り方を大切にしながら、京都ならではの美意識を備えた割烹の器を作りたいと語ります。食器の口縁や壺の肩に生まれる僅かな釉溜まり、細部に宿る緊張感と微細な変化が、見る者の心に静かに響きます。自身の出自との相対性を見つめながら、「素」から出発し、器に自身の存在を溶け込ませることを志向する。その姿勢からは、焼き物への深い探求心と静かな気概が感じられます。本展は磯松さんにとって新たな一歩となる記念すべき個展です。李朝陶を手がける多くの陶芸家の中で、彼が追い求める静寂の果てはどこへ向かうのか。その行方を、この出発点から見届けるのもまた興味深いことでしょう。ぜひご高覧いただければ幸いです。店主


「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_17171784.jpg「磯松大悟展 信而好古」5日目_d0087761_17172172.jpg

by sora_hikari | 2025-05-14 18:00 | 磯松大悟展

<< 「磯松大悟展 信而好古」6日目 「磯松大悟展 信而好古」4日目-2 >>