2025年 02月 15日
「梅田俊一郎展 民俗の記憶」ありがとうございました







「梅田俊一郎展 民俗の記憶」は本日終了しました。会期中ご来店下さいました方、ネットを通じてお選び下さいました方、皆様に心より御礼申し上げます。尚オンラインストアは本日2/15 23時までご利用頂けますのでお見逃しの方はどうぞご確認ください。
今回の展示は、梅田さんが作る樺太アイヌの「チェパニパポ」をきっかけに、「民俗の記憶」というテーマで開催しました。しかし梅田さんはアイヌの伝統工芸の作家ではなく、あくまで民俗文化に根ざした意識を持つ作り手です。特にユニークなのは、彼が自ら仮想の古代人を想定し、そのイメージをもとに作品を作り上げている点です。オキーノ人、ディーリー族、ゴルダ族など、梅田さんによる空想上の古代人ですがそれぞれに独自のストーリーを立てています。そのルーツにはアイヌやオホーツク人、イヌイット、ポリネシア人など、自然信仰を強く持つ民族が影響を与えています。自然の中で生かされている自分を意識し、そのため経済的な合理性よりも精神的な受容性を大切にする考え方が作品に反映されています。今の時代のカッコよさを追求するのではなく、どこか泥臭さや人間らしさ、土着性が感じられる作品に仕上がっています。梅田さんの作品には、現代の人々が忘れてしまった祈りや畏れ、そういった大切なものが息づいているのです。
今展にあたって梅田さんとやり取りしたメッセージを抜粋してご紹介して締め括らせて頂きます。
「目に見え無いモノを感じて貰えるような作品を作りたいことが自分の中で答えとなりました。民俗的な精神性、シャーマニズム、アニミズム等の目に見えない想いを作品を通して観た方がそれぞれ感じてもらえる作品が出来たらと思っています。新しいモノ、新しい試み、始まりと終わりなどのキーワードを意識していたので鳥や舟、朝日などをその想いの象徴として取り入れました。コレは自分にとっての今後の作品作りの方向性になると思います。」
「チェペニパポ」
樺太アイヌの民族が舟形のうつわに魚料理を盛るうつわで、御祝や儀礼、魚の大漁祈願や航海漁の安全等の祈りが込められたうつわです。
「ピヨチェペニパポ」
鳥は日本の古代シャーマニズムやアニミズムの象徴として多く使われており、鳥は神の使いとして神聖化され、霊魂を運ぶ存在や新しいモノを運んでくるなど始まりと終わり、生と死などを象徴する存在として扱われています。舟も海を移動する神聖な乗り物とされ、新しいモノを運んでくる存在、始まりなどの象徴とされています。
「ゴルダ族の茶盆」
茶盆の左右の彫りは、真ん中に太陽が昇りその太陽の明かりが左右のウロコ彫りの海を照らしている。自分の中で太陽が昇り新しい事がやってくると言う想いを込めて彫りました。
梅田俊一郎展 民俗の記憶
2025年2月8日(土)-15日(土)
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1976年 北海道札幌市生まれ
1994年 東京で日本料理の修行
2004年 作業療法士の資格取得
2010年 奈良県立高等技術専門校にて家具工芸を学ぶ
2011年 奈良県にて「梅田家具工舎」を設立
2017年 和歌山県海南市にて漆を学ぶ
2025年 現在、奈良県・和歌山県にて制作


by sora_hikari | 2025-02-15 17:00 | 梅田俊一郎展