「梅田俊一郎展 民俗の記憶」7日目

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奈良市矢田原町(やだわらちょう)にある梅田俊一郎さんの工房の様子です。奈良公園から車で20~30分程にある山間の静かなところです。古い一軒家を改装していますが、作業場は整理され秩序だった製作が行われていることが伝わってきます。また料理人の経験もあるからか、キッチンの業務用火力のコンロも目に留まりました。以前は茶畑の手伝いもしたことがあり、自らお茶を発酵するお茶師でもあり、訪ねた際には自家製のお茶でお迎え頂きました。お盆の製作が多いのもこういう経験に繋がっているようです。

梅田さんは北海道で生まれ育ち、小学校高学年から神奈川に引っ越しました。高校時代は米国テネシー州にあった在外日本人校で過ごします。アメリカ生活の中で食事が合わず、寮生活の中で自ら料理を作り、同級生たちに振る舞っていたそうです。それもあり、周りの同級生が国内外の大学に進学する中、高校卒業してから東京で料理人として修業の道に入りました。その後はご案内の通り、作業療法士、木工の専門校を経て現在に至ります。

何故、若い頃から社会に出たのかお聞きしたところ、すでに中学生の頃から社会人として働きたかったそうです。定型の学校教育よりも実践的に社会で何かをやりたい思いが強かったようです。当初から安定的な経済尺度に添うよりも、自分の身体を使って実感のもてる仕事を志向していたことが分かります。しかし早い時期からそれを自覚することはなかなか出来ませんし、ましてや決まった社会規範の中で、自分の思いを実践していくことは難しいのが一般的でしょう。

何が嫌か、何が好きかを頭で考えるよりも、身体で感じることを優先する。良く見れば正直に生きる、違う見方をすれば不器用な選択でしょう。はたから見れば、国家資格である作業療法士の職を捨て、たった一人の力で生きざるを得ない今の仕事を選んだのは、理屈では抗えない梅田さんの特性なのでしょう。経済的には不安定ではあるが、今の木に携わる仕事が一番楽しいと答えてくれました。梅田さんの作るものに宿る根の強さは、こういう人生観に繋がっているように思うのです。

展示会の会期は明日2月15日(土)17時までとなります。点数は少なくなっておりますが、テーマに添った印象深い作品はまだご覧頂けます。どうぞ実際に手にとってご覧ください。

【梅田俊一郎展オンラインストア】
販売期間:2月15日(土)23時まで

梅田俊一郎展 民俗の記憶
2025年2月8日(土)-15日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

経歴
1976年 北海道札幌市生まれ
1994年 東京で日本料理の修行
2004年 作業療法士の資格取得
2010年 奈良県立高等技術専門校にて家具工芸を学ぶ
2011年 奈良県にて「梅田家具工舎」を設立
2017年 和歌山県海南市にて漆を学ぶ
2025年 現在、奈良県・和歌山県にて制作

解説
DMの表紙に載せた「チェペニパポ」は、樺太アイヌの民族が大切にしてきた、舟形のうつわ。魚料理を盛るためのこのうつわには祝祭や儀礼、そして大漁や航海の安全を祈る深い意味が込められています。この作品は樺太出身の母を持つ梅田俊一郎さんによって作られました。梅田さんは「形や格好ではなく、その中に宿る精神性、祈り、アニミズム、霊性を込めて作りたい」と語ります。

梅田さんの経歴は実に多彩です。北海道札幌市で生まれ、高校卒業後に東京で懐石料理を学びました。その後、不思議な縁で作業療法士の国家資格を取得し、身体に不具合のある方々のサポートを行う仕事に就きます。その過程で、身体を補助する道具を作り、手仕事への思いが強まる中、奈良県の技術高専で家具作りを学びました。こうした経験が、彼の木工芸に対する深い理解と技術に繋がっています。独立後、家具工房を立ち上げ、注文家具や皿、鉢、お盆、カトラリーなど、多岐にわたる作品を手掛けています。さらに和歌山県の漆研修センターで沖見龍二氏の指導を受け、漆工も学び、漆器作りにも挑戦しています。

彼の手掛ける仕事は、刳り物や旋盤、塗り物といった木工芸全般にわたりますが、その根底にあるのは、常世と繋がるシャーマニズムとしての意識です。梅田さんの木工芸は、軽やかさよりも土着的で、深い霊性を感じさせるものです。今回の展示では、刳り物の鉢や盆、旋盤で仕上げた皿、カトラリー、そして注文家具が並びます。それらの作品には、脈々と受け継がれてきた民俗文化と、それに根ざした記憶が宿っています。それは単なる外形的な様式を受け継ぐのではなく、内面に秘められた思い、そして祈りが込められています。梅田俊一郎さんの関東初の個展。この機会にぜひご覧いただき、その奥深い世界を感じていただければと思います。店主

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by sora_hikari | 2025-02-14 18:00 | 梅田俊一郎展

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