2025年 02月 09日
「梅田俊一郎展 民俗の記憶」2日目









「梅田俊一郎展 民俗の記憶」の2日目。
長方形の盆。中国茶や煎茶盆、ひとり飲み盆として。黒系が流行る中、時代ぐるっと一周して飴色の仕上げが新鮮です。
29)松彫角盆 W34.5/D16/H2cm
35)山桜しのぎ角盆 W46/D9/H1.5cm
31)栗角盆 W42.5/D15.5/H3cm
32)栗しのぎ角盆 W42/D18/H2.5cm
30)栗隅切り盆 W38/D17/H2cm
28)松角盆 W35/D16/H1.5cm
梅田俊一郎展 民俗の記憶
2025年2月8日(土)-15日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1976年 北海道札幌市生まれ
1994年 東京で日本料理の修行
2004年 作業療法士の資格取得
2010年 奈良県立高等技術専門校にて家具工芸を学ぶ
2011年 奈良県にて「梅田家具工舎」を設立
2017年 和歌山県海南市にて漆を学ぶ
2025年 現在、奈良県・和歌山県にて制作
解説
DMの表紙に載せた「チェペニパポ」は、樺太アイヌの民族が大切にしてきた、舟形のうつわ。魚料理を盛るためのこのうつわには祝祭や儀礼、そして大漁や航海の安全を祈る深い意味が込められています。この作品は樺太出身の母を持つ梅田俊一郎さんによって作られました。梅田さんは「形や格好ではなく、その中に宿る精神性、祈り、アニミズム、霊性を込めて作りたい」と語ります。
梅田さんの経歴は実に多彩です。北海道札幌市で生まれ、高校卒業後に東京で懐石料理を学びました。その後、不思議な縁で作業療法士の国家資格を取得し、身体に不具合のある方々のサポートを行う仕事に就きます。その過程で、身体を補助する道具を作り、手仕事への思いが強まる中、奈良県の技術高専で家具作りを学びました。こうした経験が、彼の木工芸に対する深い理解と技術に繋がっています。独立後、家具工房を立ち上げ、注文家具や皿、鉢、お盆、カトラリーなど、多岐にわたる作品を手掛けています。さらに和歌山県の漆研修センターで沖見龍二氏の指導を受け、漆工も学び、漆器作りにも挑戦しています。
彼の手掛ける仕事は、刳り物や旋盤、塗り物といった木工芸全般にわたりますが、その根底にあるのは、常世と繋がるシャーマニズムとしての意識です。梅田さんの木工芸は、軽やかさよりも土着的で、深い霊性を感じさせるものです。今回の展示では、刳り物の鉢や盆、旋盤で仕上げた皿、カトラリー、そして注文家具が並びます。それらの作品には、脈々と受け継がれてきた民俗文化と、それに根ざした記憶が宿っています。それは単なる外形的な様式を受け継ぐのではなく、内面に秘められた思い、そして祈りが込められています。梅田俊一郎さんの関東初の個展。この機会にぜひご覧いただき、その奥深い世界を感じていただければと思います。店主


by sora_hikari | 2025-02-09 18:00 | 梅田俊一郎展