2025年 01月 29日
「水谷 渉展 変な人」5日目









「水谷 渉展 変な人」の5日目。
水谷渉展オンラインストアは本日1/29 20時よりご利用頂けます。茶碗、ぐい呑み、鉢、茶器、花入れなどたくさん載せましたので関心のある方はどうぞご覧ください。
本日写真でご紹介するのは斑唐津(まだら・からつ)と呼ばれる藁灰(わらばい)を釉薬に使った鉢です。藁灰釉はご覧の通り乳濁した白い色が柔らかな肌合いを生み出します。表面が斑状になることから斑唐津と呼ばれていますが、古典的知識はなくても、料理を引き立てる優しい白を基調としており、現代の食卓で使い易いでしょう。オンラインストアでもご紹介しております。
10-9)斑唐津8.5寸深鉢 W26/D25/H10cm
10-7)斑唐津8寸鉢 W26/D23/H8.5cm
10-8)斑唐津8寸兜鉢 W23.5/D23.5/H9.5cm
水谷 渉展 変な人
2025年1月25日(土)- 2月1日(土)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1975年 愛知県に生まれる
1990年 陶芸を始める
1994年 唐津で修行
1996年 鯉江良二氏に師事
2000年 岐阜県飛騨高山に築窯
2011年 島根県松江市に移住
2016年 唐津にて作陶を始める
解説
キャリアが長い作家さんを掴まえてこういうタイトルも何ですが、水谷渉さんを知っている方なら意外と分かってもらえるんじゃないかと思います。原土、薪窯を基本に据えたまま、迎合することなく、ご自身の身体感覚のまま作り続けてきた。ぶれないというか、変わる気がなかったというか、いや、あんまり考えていなかったのか。暮らしブームも一段落し、あらためて焼き物の本質を見つめ直そうとする陶芸家が増えています。時代がぐるっと一周して、ようやく水谷さんのやってきたことに追いついたように思います。
強いて言うなら水谷さんはピーター・ヴォーコスや鯉江良二の系譜にある前衛陶の作家と言えますが、しかし自由造形ながら用途という枠に踏みとどまろうとする態度は水谷渉という作家の軸でもあるのです。アート然と振る舞う陶芸ではなく、むしろ日本の焼き物史の傍流にあたるサブカルな立ち位置に思え、漫画で言うならガロ系と重なり、決して表舞台を歩かず、アングラな内面を秘めた意識を感じます。しかし、それこそ雑草文化から自生してきた日本独特のオリジナリティであり、西洋美術史とは隔絶した精神構造を有しているのです。
愛知県春日井市1975年生まれ。ご両親ともに陶芸家であったこともあり、中学生の時から陶芸には携わり、高校時代には家業も手伝っていたそうです。19歳に唐津に渡り野村淳二さんや中川自然坊さんのもとで修業、21歳には常滑の奇才・鯉江良二さんのところへ通いました。2000年25歳で岐阜県飛騨高山に薪窯を作り独立し作家活動のスタート、2011年には島根県松江市へ移住し5年間の作陶、そして2016年に再び唐津に戻ってきました。
現在は唐津の陶土業の仕事を引き継ぎ、作陶と共に粘土の販売も行っています。豊富な経験と技術に裏打ちされた生粋の陶芸家人生に見えますが、いわば正統派焼き物の流れとは一線を画す茶陶とも言えない、うつわ作家とも限定できない、唐津焼でもない、土から滲み出るような焼き物が軸にあり、枠にはめようとしても納まりきらない異端児ゆえの変なところが水谷さんの魅力なのです。人は自分に似た人に共感を抱く一方で、自分にはない奇想天外な人物にも憧れを持つものでしょう。さてこの「変な人」の作る焼き物に触れて頂ければ幸いです。 店主


by sora_hikari | 2025-01-29 18:00 | 水谷渉展2025