2024年 12月 18日
「伊藤雅風展 気韻生動」5日目







「伊藤雅風展 気韻生動」の5日目。
伊藤雅風さんの朱泥急須です。常滑急須を象徴する朱泥(しゅでい)は、雅風さんにとっても根幹を成すお仕事です。知多半島の原土を1年かけて丹念に水簸し、さらに3年以上土を寝かせて土づくりをします。鉄分を多く含む土から引き出すこの朱色は、弁柄などの着色材を加えることなく、純粋に土そのものから発色した自然な朱色です。また雅風さんの急須はそのほとんどが焼締めで釉薬をかけていません。一般的な焼締めの荒々しさとは異なり、とてもきめの細かい土で焼かれ、その多孔質かつ鉄分を含む土がお茶の渋みをとり円やかにさせます。それが朱泥急須の魅力であり、昔から伝わる技法を愚直に実践することで雅風さんの朱泥急須は作られています。
【伊藤雅風展 気韻生動】
2024年12月14日(土)- 12月21日(土)
11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
【プロフィール】
@gafu_ito
1988年 愛知県常滑市に生まれる
2007年 常滑高等学校セラミック科卒業
2009年 村越風月氏に師事
2011年 名古屋造形大学産業工芸コース卒業
2012年 独立
2024年 現在、愛知県常滑市にて制作
【解説】
5世紀末の中国の画論家 謝赫(しゃかく)が、絵画の規範を記した「画の六法」があります。その中には、描線、形体、色彩、構成、模写の5つの技術的な尺度を示すとともに、もっとも肝心なこととして「気韻生動」という言葉を挙げています。「気韻」とは気品や風格のある味わい、「生動」とは生き生きとして見えることを表します。技術を説いた他の5法とは異なり、「気韻生動」は抽象的な感覚、つまり技法だけでは測れない形而上の概念を最上のものとして位置づけたのです。
伊藤雅風さんの作る急須は、土造り(入念な素材づくり)、形状(正確さ)、機能(手取りや水切れ)、多様性(種類)、歴史的造詣(古典との繋がり)を踏まえたものですが、それらが複合的にひとつの急須に収斂されることで「気韻」と「生動」が備わるのです。それは「佇まい」という言葉で表現される急須に宿る品格です。急須は機能や様式的な美しさに加えて、茶を喫することで意識を高揚させる精神的な道具でもあります。急須という外形的な存在だけでなく、味や香りを昇華した先にある目に見えない品格を纏っているかが問われます。伊藤雅風さんの急須は道具として持つ喜び、使う喜びが生み出されるのです。
2016年以来、弊店で5回目となる個展です。まだ20代だった初回に比べて技巧的向上はあるものの、年月をかけた土づくりをはじめ、美味しい茶を飲むための急須への思いを愚直に守る姿勢は何ら変わりません。年末の慌ただしい時期の開催となりますが、今回も雅風急須で美味しいお茶を飲んで頂ければ幸いです。店主


by sora_hikari | 2024-12-18 17:57 | 伊藤雅風展2024

