2024年 12月 17日
「伊藤雅風展 気韻生動」4日目












「伊藤雅風展 気韻生動」の4日目。
伊藤雅風さんの藻掛けの急須です。雅風急須は80cc~100cc程の上級煎茶や中国茶向きの小ぶりなサイズが多いですが、今展ではこの藻掛け急須を始め、300cc以上入る日常向きサイズの急須が多く出品されています。たっぷりとお茶を飲みたい方、ご家族でお使いになる方には嬉しいラインナップです。
色味は同じ土を酸化と還元で焼いた白系と黒系の二種あります。朱泥に使う土よりも鉄分が少なくこざっぱりとした印象です。
また表面に施された藻掛け(もがけ)とは、常滑急須の伝統的な装飾技法です。知多半島にある常滑は海が近く、その海岸にあがるアマモと呼ばれる海藻を急須に巻き付けて焼成することで、海藻のミネラルが陶土と反応し緋色に発色します。常滑の江戸期の陶工である伊奈長三が始めたと言われます。
手描きの模様と異なり、自然物による不定形な発色が面白く、備前焼の直線的な緋だすきよりも、細かく有機的な模様が特徴的です。今回はさらに雅風さんオリジナルの杉掛けによる模様も僅かですが出品されています。レアアイテムとして探すのも楽しいでしょう。
【伊藤雅風展 気韻生動】
2024年12月14日(土)- 12月21日(土)
11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
【プロフィール】
@gafu_ito
1988年 愛知県常滑市に生まれる
2007年 常滑高等学校セラミック科卒業
2009年 村越風月氏に師事
2011年 名古屋造形大学産業工芸コース卒業
2012年 独立
2024年 現在、愛知県常滑市にて制作
【解説】
5世紀末の中国の画論家 謝赫(しゃかく)が、絵画の規範を記した「画の六法」があります。その中には、描線、形体、色彩、構成、模写の5つの技術的な尺度を示すとともに、もっとも肝心なこととして「気韻生動」という言葉を挙げています。「気韻」とは気品や風格のある味わい、「生動」とは生き生きとして見えることを表します。技術を説いた他の5法とは異なり、「気韻生動」は抽象的な感覚、つまり技法だけでは測れない形而上の概念を最上のものとして位置づけたのです。
伊藤雅風さんの作る急須は、土造り(入念な素材づくり)、形状(正確さ)、機能(手取りや水切れ)、多様性(種類)、歴史的造詣(古典との繋がり)を踏まえたものですが、それらが複合的にひとつの急須に収斂されることで「気韻」と「生動」が備わるのです。それは「佇まい」という言葉で表現される急須に宿る品格です。急須は機能や様式的な美しさに加えて、茶を喫することで意識を高揚させる精神的な道具でもあります。急須という外形的な存在だけでなく、味や香りを昇華した先にある目に見えない品格を纏っているかが問われます。伊藤雅風さんの急須は道具として持つ喜び、使う喜びが生み出されるのです。
2016年以来、弊店で5回目となる個展です。まだ20代だった初回に比べて技巧的向上はあるものの、年月をかけた土づくりをはじめ、美味しい茶を飲むための急須への思いを愚直に守る姿勢は何ら変わりません。年末の慌ただしい時期の開催となりますが、今回も雅風急須で美味しいお茶を飲んで頂ければ幸いです。店主


by sora_hikari | 2024-12-17 17:06 | 伊藤雅風展2024

