2024年 10月 25日
「若杉聖子展 心静如水」7日目-3
「若杉聖子展 心静如水」の7日目-3。
若杉聖子さんの花弁をモチーフにしたボウルと花入。ドレープ状になったレリーフの陰影が立体を浮かび上がらせます。いわゆる輪花状の装飾的な造形ですが、可愛いというよりも優雅で、決して甘くない研ぎ澄まされた緊張感があります。
若杉さんのお仕事は一流のバレーダンサーが持つ美しさと厳しさに重なります。単なる外見の美しさだけでなく、技術の美しさ、表現の美しさ、そして努力の美しさが複合的に織りなすものです。完璧を求める姿勢と、それに対するストイックな姿勢。表情、手足、体全体の動き一つ一つに意味があり、物語を紡ぎ出します。
また白い立体を陰影で表す造形は、まさに光と影の成す美しさです。
それはまるで「白鳥の湖」の白鳥のオデットと黒鳥オディールとの関係性にも通じます。純粋で美しい白鳥のオデットに対し、黒鳥オディールは妖艶で魅惑的。白と影の対比があればこそ ドラマティックな要素をもたらします。オデットが善を表すなら、オディールは悪。しかし単純な善悪の対立ではなく、人間の中に潜む欲望や誘惑といった複雑な感情を象徴しています。
若杉さんの作品の「白」の美しさは「影」にこそ本質が潜んでいる。この相互作用があればこそ作品に深い意味を与え、若杉聖子という作者の本質が見えてくるのです。
会期は明日10月26日(土)17時までとなります。まだ見応えのある若杉さん、小原さんの作品がありますのでどうぞご来店ください。
若杉聖子展 心静如水
金工作品協力:小原ゆかり
2024年10月19日(土)~26日(土)
11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
若杉聖子 略歴
1977年 富山県富山市生まれ
2000年 近畿大学文芸学部芸術学科陶芸コース卒業
2003年 多治見市陶磁器意匠研究所修了
2015年 リモージュ(仏)にて研修
2024年 兵庫県三田市から京都市に移住し制作
2024年 現在、京都市立芸術大学准教授
小原ゆかり 略歴
1985年 千葉県生まれ
2010年 東京学芸大学大学院 金属工芸修了
2011年 東京都江戸川区に工房を設立
2018年 大阪に工房を移転
2024年 現在大阪市にて制作
by sora_hikari | 2024-10-25 19:00 | 若杉聖子展2024