2024年 09月 28日
「松本郁美展 シルクロードの夢路」ありがとうございました
「松本郁美 展 シルクロードの夢路」は本日終了しました。夏から秋へ季節の移り変わりを感じる8日間でした。会期中ご来店下さいました方、Cindyさん(@yw0625)のお茶会にご参加下さいました方、ネットを通じてお選び下さいました方、皆様に厚く御礼申し上げます。尚オンラインストアは明日9/29(日)23時迄ご利用頂けますのでお見逃しの方はどうぞご覧ください。
写真は今夏訪ねた滋賀県甲賀市にある松本郁美さんの工房の様子です。作業場と共に作品の源泉となる壁画の資料や壁のピンナップ、そしてお住まいの所々に置かれたオリエンタルな小像が印象的でした。意識の高い作家のもとには良いものが置かれている。経験的にそう思います。
2022年に続く第二回目となる個展でしたが、前回は中国陶磁、ペルシャ陶器などシルクロード文化に繋がる卓上サイズの水差し、陶俑、レリーフ、茶道具などで構成されていましたが、今展ではさらにシルクロード沿いの洞窟壁画に触発された大型作品に取り組んだことが特徴的でした。日用品から距離を置き、博物館に置かれるがごとき作品に臨んでおり、ご自身の思いを遂げる強い覚悟を感じる内容でした。
時に作家として、自分自身の可能性を広げる取り組みも必要だと思います。日々の注文に追われ、自己の過去を再生産し続けることは、創作という点に於いて摩耗するものもあるように思います。しかし通常はその流れを断ち切ることは物理的にも精神的にも難しさが伴います。今展に向けて松本さんはそれをやり遂げようと歩んだ二年間だったのだろうと思います。
松本郁美さんが全身全霊をかけた思いの深い展示会。あらためてご自身に根差す焼き物への思いを見つめ直した内容であり、従来の作風をさらに掘り下げ、土造りから仕上げまでの取り組みを変え、あらたな思いで実現してくれました。中国からさらに西方に向かうシルクロード、東洋と西洋が混ざり合う文明の発祥地、その幻想的な世界を表すための絵柄、質感、アイテム等など、多くの方にその変化が伝わったことと思います。そこで表されたのは物質的な存在だけでなく、時代や地域を超えて心の旅を誘う幻想的な世界観がありました。これこそが松本郁美さんが古典と技術と独自性を掛け合わせた表現でした。
このような作者が覚悟する節目に立ち会えることは、ギャラリーとして誇らしいことです。また新たな評価を得るべく伝える側としての責任もあり、身の引き締まる展示会でした。幸いなことにたくさんのご評価を頂けたことを嬉しく思います。過去に何人かの節目を経験した立場から言えるのは、時流を超えて確実に次に向かって飛躍できるということです。この先、松本郁美さんが、どう人の心を感動させるのか。引き続き注目していきたいと思っています。
【松本郁美展オンラインストア】
販売期間:9月29日(日)23時まで
【松本郁美 展 シルクロードの夢路】
2024年9月21日(土)~28日(土)
11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
【略歴】
1978年 静岡県生まれ
2001年 成安造形大学環境デザイン科卒業
2009年 京都府立陶工高等技術専門校卒業
2012年 京都市産業技術研究所釉薬実務修了
2017年 景徳鎮陶瓷大学にてレジデンス
2018年 滋賀県甲賀市に築窯
2024年 現在同地にて制作
by sora_hikari | 2024-09-28 17:00 | 松本郁美展2024