2024年 09月 15日
「松本郁美展 シルクロードの夢路」開催のご案内
9月21日(土)から28日(土)まで開催する「松本郁美 展 シルクロードの夢路」のご案内です。
滋賀県甲賀市で作陶する松本郁美さんが憧れるのはシルクロードに伝わる仏教文化の豊かな精神世界。ご紹介するのは中央アジアのキジル石窟の壁画や敦煌の莫高窟(ばっこうくつ)に感化された作品です。仏教美術の宝庫として知られる石窟寺院である両者はシルクロードを通じた東西文化の融合を物語る壁画や彩色塑像が多く残っています。その異国情緒ある文化を、単なる写しではなく松本郁美さんの視点で咀嚼したシルクロードへの夢路の痕跡とも言えましょう。はるか昔、西方で描かれた祈りの残像を、万華鏡のように織り交ぜ現代に表した「思い」の描写。時代や国や宗教を超えて奥深い「心の旅」に誘われます。古典を写す行為は再生や反復であると同時に、その形を借りて今現在の自分の心情にどう響くのかという確認作業でもあるでしょう。作者の思いを通じて、受け手が自分自身の意味にどのように置き換えられるのか。あるいは直感的な衝動が湧き起こるのか。その変換される邂逅こそが、こういう作品の役割です。
今展に向けて松本郁美さんが言葉にしてくれました。「敦煌莫高窟、ウィグルのキジル壁画を表現した作品を制作しました。莫高窟は長年憧れ続けているテーマです。当時の人々にとって仏教伝来の信仰と祈りを捧げた聖域の場所です。西洋と東洋の文明、文化が重なり合ったこの場所が自身のシルクロード、西域へのテーマと重なり、これを自分なりの表現で形にしていきたいと思っています。風化と当時の美しい色合い、写しと自分なりの表現、もう一つのテーマでもありますが、どちらも制作を通して答えを探していけたらと思っています。壁画を表現した壺、大切にしているお茶と茶器です。明代まで茶器はありませんでしたが、お茶、宗教、文化、人々の暮らしの中に深く根付いていると想像し、その当時に想いを馳せた茶器も制作しました。今回、壺も茶器も壁画に合わせて色絵の絵の具を雑味のある土と顔料で新しく作り、従来の絵のトーンを変えております。土は莫高窟により近づけるために挑戦してみました。」
焼き物の発祥は、中国とペルシャの二つの大河に根差しています。日本の多くの陶芸家が中国や韓国など東方を原点とする焼物に根差すことが多い中、松本郁美さんは東と西域の緩衝地点であるシルクロードへ目を向けています。さらに近年は中国茶の歴史にも執心しており、中国茶器への取り組みも積極的です。2022年に続く弊店で二回目となる個展ですが、さらにシルクロードに影響された表現が奥行を増し、自分自身の思いを掘り下げた作品の数々をご覧いただけます。どうぞご来店ください。店主
松本郁美 展 シルクロードの夢路
2024年9月21日(土)~28日(土)
作家在廊日 9月21日、22日
※22日 13時~16時 お茶会
※22日 13時~16時 お茶会
11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
略歴
1978年 静岡県生まれ
2001年 成安造形大学環境デザイン科卒業
2009年 京都府立陶工高等技術専門校卒業
2012年 京都市産業技術研究所釉薬実務修了
2017年 景徳鎮陶瓷大学にてレジデンス
2018年 滋賀県甲賀市に築窯
2024年 現在同地にて制作
※写真作品
騎馬人物文壷 Φ30 / H42 cm
by sora_hikari | 2024-09-15 09:00 | 松本郁美展2024