「内村慎太郎展 侘数寄ストレートフラッシュ」ありがとうございました

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内村慎太郎展 侘数寄ストレートフラッシュ」は本日終了しました。会期中ご来店下さいました方、ネットを通じてお選び下さいました方、皆様に厚く御礼申し上げます。尚オンラインストア(要パスワード)は明日の夜までご利用頂けます。

写真は福岡県糸島市にある「山居窯」を屋号にする内村慎太郎さんの仕事場の様子です。豊かな自然に囲まれ、四季折々の美しさの中で作られる焼き物の健やかさはこの環境にもあるのだと思わされます。仕事場には作品展示室や茶室も併設され、お客様を大切にもてなす心遣いもまた焼き物同様にきめ細やかです。

内村慎太郎さんの茶盌を見ると、素直に高麗ものの良さを再現したいと考えているのが伝わってきます。唐津では中里無庵さんが唐津焼を再興し、西岡小十さんなどがさらに古唐津を深めつつ、やがて自然坊さんや川上清美さんなどによる古典をあらたな形で表現する方々が表れ、近年は梶原靖元さんなど古唐津の材料から本質を問い直す流れも生まれ、今あらたな時代を迎えています。

そのような中、内村さんは元々、井戸茶碗に憧れて陶芸教室からスタートしたこともあり、どっぷりと唐津の流れの中にはおらず、あくまで侘び数寄の茶盌に使づきたいというストレートな気持ちがそのまま今に辿りついるように思います。奇しくも時代の流れは、あらためて古典回帰の機運もあり、再現に対する偏見を持たぬ若い世代を中心に、真っすぐな古典を求める人が増えつつあるように思います。

茶陶はいまだ作り手の向き合い方、古典の知識、技法など特殊領域にあり、対象となるお客様も茶の湯のご関係の方、数寄者の方など相応の知識を踏まえた方々に支えられています。また緩やかに重なる部分もあるものの、それらを扱う側も専門とする領域が分かれていることが多いように思います。

長い歴史によって培われた茶道具ですから、その価値観の中で(正攻法に限らず)、厳しくもやり甲斐のある陶芸の道として選ばれた作家も多いと思います。しかし翻って見れば、その範囲の価値観に留まり、微に細に入り視野狭窄をおこす危険も孕んでいると言えるでしょう。

実は内村慎太郎さんとのお取引は、2022年に北京の四時seasonさんで開催した茶碗展の作家のお一人としてご参加頂いたのがご縁になります。中国の長いお茶の歴史の中で、中国茶器が新たな時代に向けている現代に於いて、敢えて日本を代表する焼き物である「茶碗」を中国の方にご覧頂きたいとの思いで企画しました。

茶の湯に疎くとも、茶道具の美しさを伝えたいとの思いも素直にあるべきではないか思います。もちろん対象となる方、そして価格帯の乖離の難しさはあります。しかしこれを日本を代表する美術品としてみた時に、絵画や彫刻の経済価値に比べて、工芸とはなんと謙虚なのだろうとも思います。これは世界市場に向けた売り方の問題でもあるのでしょう。

海外に向けて日本の茶の湯の歴史を説き、茶道具の価値を伝えることは過去にも多く行われたことでしょう。しかしその枠から一旦離れて、美術的造形物(例えば彫刻のように)として世界の美術史の中でどう位置付けるか、アートとしてどう文脈を再構築するかも大切なように思います。これは茶道具に限らず、いま日本で興っている焼き物をもっと大局的に俯瞰してみることにも通じると思います。

大げさな問い掛けをしつつも、一介のギャラリーがどれほど貢献できるかは甚だ疑問でありますが、いわゆる「茶道具」も「日常のうつわ」も区別せず、その美しさを伝えるためにその根底を見つめ、境界を設けないことを今後も心掛けたいと思っています。

尚この持論は内村さんのお考えとは関係ないことをお伝えしておきます。侘数寄ストレートフラッシュですから、念のため。

【内村慎太郎展 侘数寄ストレートフラッシュ】
2024年7月6日(土)~13日(土)
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

【略歴】
1975年 鹿児島県霧島山麓湧水町に生まれ
1995年 国立鹿児島工業高等専門学校卒業
橋梁設計に従事後、古陶磁に惹かれ焼物の道に入る
2002年 福岡県糸島市に工房を開く
2002年 曹源窯小島直喜氏に師事
2008年 工房を移し、山居窯開窯
2024年 現在 福岡県糸島市にて制作



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by sora_hikari | 2024-07-13 17:19 | 内村慎太郎展

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