2024年 06月 02日
「藤田佳三展 安南安穏」開催のご案内
6月8日(土)から15日(土)まで開催する「藤田佳三展」のご案内です。
柔らかな白に赤や緑のリズミカルな細い線で描かれた番いの野鳥やザクロ。この伸びやかな線は「つけたて」と呼ばれる下書き無しで運筆にまかせ器に直接絵を描くことで生まれます。一尺の器体は輪花状に成形され寿ぎの席を彩ります。また蓮弁を上下に貼花し、胴部に抽象化した蓮の花を線彫りし鉄彩を施した壷。灰釉による泣きと呼ばれる滲みが全体に柔らかさを与えています。どちらもベトナム(安南)の古陶磁に触発されたものですが、敢えて簡素なタッチで民窯の風合いを捉えようとご自身で咀嚼した表現になっています。
当時中国景徳鎮で焼かれた精緻な絵付けとは異なり、ベトナム古陶磁の曖昧な文様は、釉薬と融け合って器体と分離せず一体感があることが、むしろ焼き物らしいと藤田さんは考えています。藤田佳三さんは1963年京都市生まれ。現在、京都府亀岡市で染付や赤絵の器を制作されています。高校以来40年を超える経歴ですが、尊大になることなく京都ならではの問屋仕事をこなし、食器を中心にした作家として活動されてきました。藤田さんの器は、陶土に白化粧を施した後に絵を描くことで、柔らかな印象の器に仕立ているのが特徴的です。また絵付けにおいては、安南手と呼ばれる滲んだ染付、宋赤絵のように余白のある絵柄など、研ぎ澄まし過ぎない洒脱なタッチが、親近感を呼び起こすのです。
弊店で5回目を迎える藤田佳三さんの安穏無事に心安らぐ安南の器をどうぞご高覧ください。店主
藤田佳三展 安南安穏
2024年6月8日(土)~15日(土) 会期中無休
作家在廊日 6月8日
11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
経歴
1963年 京都市生まれ
1982年 京都市銅駝美術工芸高校卒業
1986年 京都芸術短期大学陶芸専攻科修了
1987年 小川文斎氏に師事
1990年 兵庫県丹波立杭にて修行
1993年 京都府亀岡市にて独立開窯
2024年 現在、同地にて制作
写真作品
染付色彩輪花尺皿 径30/高さ5cm
灰釉鉄彩蓮弁文壷 径26/高さ30.5cm
by sora_hikari | 2024-06-02 18:00 | 藤田佳三展2024