2024年 05月 02日
「太田修嗣展 確かなるもの」5月11日(土)より




5月11日(土)から始まる「太田修嗣展 確かなるもの」の出品物です。
朱と黒の丼椀。下地を僅かに透かした根来塗りで、口は玉縁状で、胴はすっと垂直に立ち高台は広く取られています。重心が低く横から見た立ち姿に安定感があり、鎌倉の大仏の座像の姿が浮かびました。通常の汁椀より少し大振りの椀ですが、具沢山の汁物ならこれぐらいの大きさの方が便利でしょう。
太田さんの漆器の特徴は、木のクセをそのまま生かしていることです。この椀も上からの写真で分かりますが、正円に整えるのではなく、木地をろくろ挽きした後に乾燥で出来る歪みをそのまま生かしています。まるでフリーハンドで描いた円のような柔らかさがあり、木の自然性を感じます。
焼き物に例えるなら、磁器と陶器の違いに近いでしょうか。通常の漆器はきりっとした形の磁器のように仕上げますが、太田さんの漆器は、まるでろくろの勢いや土の柔らかさを生かした陶器のような感覚です。それは陶芸家が原土から拘るように、太田さんが自ら気に入った木を仕入れ、原料から加工して塗り物にしていることと関係しているでしょう。木の素材への興味と敬虔な向き合い方が漆器にも表れているのです。太田さんの漆器はここを踏まえて接するとその魅力が伝わると思います。
洗朱根来丼椀 Φ14.5 / H 9cm
黒根来丼椀 Φ14.5 / H 9cm
太田修嗣展 確かなるもの
2024年5月11日(土)~18日(土)
作家在廊日 5月11日
11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
略歴
1949年 愛媛県松山市生まれ
1981年 鎌倉・呂修庵にて塗師の仕事を始める
1983年 村井養作氏に師事 蒔絵や変り塗りを学ぶ
1987年 神奈川県厚木市にて独立
1987年 ろくろ・指物・刳物一貫制作の工房を開く
1994年 愛媛県広田村(現・砥部町)に移転
2024年 現在 同地にて制作
by sora_hikari | 2024-05-02 18:00 | 太田修嗣2024