「大桃沙織展 綾なす鍛金」開催のお知らせ

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11月18日(土)~25日(土)に開催する「大桃沙織展 綾なす鍛金」のご案内です。

新潟市江南区で制作する鍛金作家・大桃沙織さんの弊店初となる展示会です。大桃さんは真鍮、銅、洋白などの金属板を打金で叩いて模様をつけた匙、針山、小箱などを制作しています。大桃さんの作品を初めてみたのは2007年のクラフトフェアでした。当時は暮らし向きの器が全盛期で装飾を省いたシンプルなものが多かった中、大桃さんの模様づけされた真鍮製の針山に新鮮さを覚えた記憶があります。装飾の柄は民俗的な印象で機能性よりも情緒性を謳った心の豊かさを感じました。

大桃さんが扱う素材は金属ですが、製作のお話を聞く過程で、不思議なことに布に纏わる話題が多く出てきます。今お住まいの新潟市江南地区は江戸時代に「亀田縞」が作られた織物の町で、当時腰まで泥に浸かる過酷な米作りを支えるため丈夫で汚れに強く、しかも美しい縞柄の綿織物として誕生した庶民の布でした。そんな伝統の地で育った大桃さんのお母様も縫物が得意で、大桃さん自身も刺繍が好きな少女だったそうです。

布ものは今でも好きで、手織りの絨毯のギャッペからも影響を受けていると聞きました。大桃さんが金属の板に打金でひと打ちひと打ち模様を重ねていく工程は、糸と布で縫いとる作業と似ているとおっしゃいます。さらにその模様によって単色の金属に色を感じられる装飾ができればと思っています。確かに大桃さんの作る道具は金属でありながら柔らかくて温かく、細かな糸を綾なした刺繍のようです。ひと打ちひと打ち思いを込めて。幼い頃から好きだった刺繍のように。

初めてお会いしたときから時が経ち、家庭をもち、母になり、子育てに追われる忙しい毎日。しかし金属を打ち重ねるときは、布に針をチクチクと刺す夢見る少女の頃の思いと同じなのでしょう。そんな思いを知るとそれは単なる道具を超えて、身の回りに置いて一緒に暮らしたくなる愛おしい存在に変化するのです。大桃さんの綾なす鍛金は、きっと手にする人の心も彩なすことでしょう。そんな愛情ある大桃さんの鍛金作品をぜひ手にとって頂ければと思います。店主

大桃沙織展 綾なす鍛金
2023年11月18日(土)~25日(土)
作家在廊日 11月18日
営業時間11時~18時 最終日は17時まで
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

プロフィール
1979年 新潟県新潟市生まれ
2003年 長岡造形大学工芸デザイン鍛金コース卒業
2005年 長岡造形大学 助手(2年間)
2007年 個展・グループ展などで作家活動
2012年 高岡クラフトコンペ グランプリ
2023年 現在、新潟県新潟市にて制作

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by sora_hikari | 2023-11-12 09:00 | 大桃沙織展

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