2023年 11月 11日
「大平新五展 古今一如」ありがとうございました
「大平新五展 古今一如」は本日終了しました。会期中ご来店下さいました方、ネットを通じてお選び下さいました方、皆様に御礼申し上げます。尚、オンラインストアは明日11/12(日)23時までご利用頂けますので、関心のある方はどうぞご覧ください。
本来ならネガティブなはずの感傷的な思いに、むしろ閑寂の趣に美しさを感じるというのは日本独特の感覚のように思います。外形的に絢爛豪華な美しさと違って、内面的な寂しさに浸る感覚は、視覚的には表しづらい抽象の世界です。そこを感じるか、感じないか、耳をすますように感覚を研ぎ澄ませば聞こえてくるでしょう。これが大平新五さんの骨董や自作に通じているニュアンスです。
先人達の眼で培われてきた古典の美を現代にどのように継承していくのか、そのアプローチは作り手ごとに様々です。暮らしそのものから作った当時の意識に近づけようとする作家、クラフトと美術工芸の領域を融合させようとする作家、あるいは骨董も現代のものも区別なく、その風合いを一貫させようとする作家。古典への目の向け方は、その再現に留まることなく常に現代の価値観に置き換えられて更新されています。その原点を踏まえたうえでそれをどう再生しようとするかは、遠回りのようでいて実は文化の血脈相承するために大切なことのように思います。
写真は滋賀県信楽町の大平新五さんの仕事場です。町中にあるお客様をお迎えするスペースと山の中腹にある作業場が分かれています。接客スペースは綺麗に整えられ、大平さんが集めた骨董品が並んでいます。また作業場の方には製作机・棚や穴窯があり、倉庫には古材や窯業材料が置かれています。
若い頃に料理の修行をした経験があり、陶芸も共通する要素があるそうです。主に手びねりで成形していますが、作業に取り掛かる前にまずきちんと周りを整理整頓することから始まります。それは厨房からお客様に料理を渡すデシャップ台の仕事に近いと言います。調理された料理を綺麗に盛り付け、配膳する。心を整えて臨む儀式のような作業。この精神的に管理された過程を経て大平作品は生み出されているのです。
この度はありがとうございました。
【大平新五展オンラインストア】
販売期間:11月12日(日)23時まで
大平新五展 古今一如
2023年11月4日(土)~11日(土)
11時~18時 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
プロフィール
1973年 滋賀県信楽町に生まれる
1997年 窯業材料の仕事を行う
2000年 穴窯・登窯作りを請け負う
2000年 骨董蒐集を始める
2014年 京都にて初個展
2023年 現在、滋賀県信楽町にて活動中
by sora_hikari | 2023-11-11 17:00 | 大平新五展2023