2023年 10月 13日
「タナカシゲオ展 行住坐臥」7日目
「タナカシゲオ展 行住坐臥」の7日目。
爽やかな秋晴れの一日となりそうです。
タナカシゲオさんの阿蘭陀白釉の手付き鉢や片口鉢です。クリーミーで柔らかな白色に手にすると分かる軽さが特徴です。
阿蘭陀=オランダとは、16世紀中頃からオランダ デルフト地方で焼かれた錫釉を掛けた軟質陶器を意味しています。当時はイタリアから伝わったマジョルカ(マヨルカ)焼きの技法がオランダに伝わり、17世紀頃からは欧州の東洋ブームとなる景徳鎮の磁器や伊万里の絵付けに影響された絵柄の入った皿や鉢、タイルが焼かれていました。柔らかな白濁した錫釉に染付された器は欧州で人気を博しますが、やがてマイセンやリモージュで磁器の生産が成功すると共に19世紀には衰退していきました。
日本の民藝運動家である柳宗悦、浜田庄司たちに西洋の民芸としてデルフトも取り上げられていますが、近年になって絵付けのされていないホワイトデルフトの侘びた美しさを広めたのが古道具 坂田さんであったと思います。
タナカさんが軸とする李朝の器が中国から朝鮮を経由した焼き物の流れだとすれば、デルフトは元々中東から南欧州を経てオランダやイギリスの流れです。焼き物の二大発祥地である中国とイスラム。その技術が北回り、南回りで伝わることで、それぞれの土地の影響を受け、あるいは退行し、いにしえの焼き物の風合いを好んだ日本の茶人や民藝家の眼に取り上げられた李朝とデルフト。その発祥時期と衰退も重なる焼き物が、ここ奈良県明日香村のタナカさんの手によって交わるのも不思議な縁だと思います。
タナカシゲオ展 行住坐臥
2023年10月7日(土)~14日(土) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00
最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
プロフィール
1963年 京都生まれ
2003年 京都にて初個展
2007年 奈良県明日香村の古民家に移住
2011年 穴窯を築窯
2016年 倒炎式薪窯を築窯
2023年 現在奈良県明日香村にて作陶
by sora_hikari | 2023-10-13 11:32 | タナカシゲオ展2023