「畑中篤展 TYPOGRAPHY」7日目-2

畑中篤展 TYPOGRAPHY」の7日目-2。

畑中篤展の会期は明日5月20日(土)17時までとなります。ご覧頂ける作品はまだ十分ございますので、どうぞ川越までお出掛け下さい。

暗闇に浮かび上がるたっぷりとした大きさの壷。重力を受け緩やかに下方に重心を移しています。外見的には土器の様相ですが、実際は高温で焼かれており、原土を掛けて磨いた表面は手で触ると滑らかに処理されていることが分かります。これは壺という球体に弥生や土師器の景色を映した現代土器と言えるでしょう。

畑中さんは京都芸大卒業後に、奈良県の寺院の文化財研究所で土器や須恵器の修復の仕事していたことがあります。土中から掘り出された破片を接着し、足りない部分を石膏で補う作業です。当時の姿を再現し、文化財として保存する。しかし全てのパーツが本物ではなく、部分的に異素材を入れて現代に蘇らせた再生土器と言えます。

土器を評価するうえで、考古学的解釈もありますが、一方でそれを現代の美意識に置き換えて、新たな視点で捉える価値の転換(見立て)もあるでしょう。この畑中さんの壷は、修復とは異なるいわば土器の「フェイク」である訳ですが、当時の形態を引用し、土器の美しさを象徴的に演出する手段なのです。当時の素材や焼成方法でアプローチするのではなく、現代的な技法でそれを抽象化し、その根幹にある美しさをあぶり出す。洗練された現代の空間に置くことを想定した畑中さんによるModern Earthenwareなのです。

【畑中篤展オンラインストア】
https://utsuwanoteshop.stores.jp/
5/17 20:00-5/20 23:00

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畑中篤展 TYPOGRAPHY
2023年5月13日(土)~20日(土) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート 
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

プロフィール
1979年 奈良市生まれ
2003年 京都市立芸術大学 工芸科卒業
    元興寺文化財研究所入所(~2005)
2005年 陶芸家 吉川正道氏に師事
2007年 独立 愛知県常滑市にて制作活動開始
2008年 名古屋芸術大学非常勤講師(~2014)
2010年 制作拠点を奈良に移し、現在に至る

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by sora_hikari | 2023-05-19 18:00 | 畑中篤展

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