「田村文宏展  日本焼物創生(猿投・瀬戸・渥美)」開催のお知らせ

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4月15日(土)から22日(土)まで開催する「田村文宏展  日本焼物創生(猿投・瀬戸・渥美)」のご案内です。

日本の焼き物の創生をどことするかは諸説ありますが、古墳時代から鎌倉時代にかけて約900年余り焼き物を生産し、日本初の施釉陶器となる灰釉の「白瓷(しらし)」が焼かれ、さらに山茶碗を大量に生産した愛知県中央部の猿投窯(さなげよう)は、日本の焼き物史において中心的役割を果たしたところです。やがてこの猿投窯から瀬戸、渥美、常滑へと広がり、本格的な焼き物時代が始まりました。

猿投窯の延長上にある瀬戸も施釉陶器をいち早く生産した伝統ある窯業地です。中国南宋から伝わった技術によって施釉陶器を作り、鎌倉時代から室町末期まで、中世の焼き物をリードする中核の地でした。緑色を帯びた灰釉と茶褐色の鉄釉を施し、壷・瓶子にはじまり、香炉・水注・仏器など多様な器種が作られました。民具中心の他の窯業地に比べ、瀬戸は武士階級を中心とした上流社会に庇護され、特権的な立ち位置にあった事が特徴です。

また渥美も猿投窯を源流とする産地でした。平安末期から鎌倉時代にかけて約200年間創業しましたが、瀬戸や常滑が中世以降も続いたのに対して、渥美は中世前期に途絶えており、謎の多い窯業地です。渥美は灰色や黒褐色の焼き物が多く、砂質粘土で表面に模様を施した壷や山茶碗が焼かれ、当時としては先端を行く施釉陶器の生産を行いました。国宝に指定されている秋草文壷を見て分かるように、当時の渥美の質と美意識の高さを感じます。

愛知県岡崎市の田村文宏さんは、弊店で5回目の個展となりますが、過去3回は東南アジアの古陶磁を、前回2019年は古瀬戸をテーマにし、今回はさらに範囲を広げ、「猿投・瀬戸・渥美」に取り組む意欲的な内容です。田村さんがこれらに取り組むのは、生まれ育った地域に近いこと、瀬戸の窯業学校出身であること、東南アジアの焼き物との類似性、さらには近隣の古窯跡の調査や瀬戸の原料の使用など、陶芸家として独立当初から古瀬戸は必然であり、さらにその源流となる猿投、また幻の渥美にも強い憧れがあるのでしょう。

土器から須恵器を経て、日本で高温焼成を成しえた初源の焼き物の姿である「猿投・瀬戸・渥美」。素朴な灰釉白瓷の美しさ、文様を施した峻厳な様式美。田村さん自ら、それぞれの土地で入手した粘土をもとに薪窯で焼き上げた焼き物が並びます。日頃の日常使いの食器路線からは少し離れて、古典を掘り下げると同時に、自分自身の原点を探る仕事になります。店主

田村文宏展  日本焼物創生(猿投・瀬戸・渥美)
2023年4月15日(土)~22日(土) 
作家在廊日 4月15日
営業時間 11時~18時 最終日は17時まで
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

プロフィール
1978年 愛知県岡崎市生まれ
2000年 東南アジア・インドへ遊学     
2004年 瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科卒業
2005年/06年 ホンジュラス共和国にて窯業サポート
2010年/12年/14年 カンボジアにて窯造りの手伝い
2021年 笠間陶芸大賞展二部 優秀賞
2023年 現在、愛知県岡崎市で制作

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by sora_hikari | 2023-04-09 09:00 | 田村文宏展2023

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