「阿曽藍人展 土のタイムカプセル」開催のお知らせ

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3月18日(土)~25日(土)に開催する「阿曽藍人展 土のタイムカプセル」のご案内です。

卵や容器のような抽象的な形をした土器。野焼きによる焼成痕を残す塊状の物体ですが、中は空洞で手に持つと虚ろな軽さが伴います。何百万年という悠久の時を経て出来た土を焼き固めて、今という瞬間を封じ込め未来へ託すタイムカプセルのように見えます。土器は800℃程の低温で焼かれた焼き物で、1200~1300℃の高温で焼き固める陶磁器とは性質が異なります。硬度さを犠牲にするのに引き換え、土のレアさを未だに有する中間的な質感が魅力的でもあります。

土器と言えば一般的に縄文や弥生時代の焼き物を思い浮かべますが、阿曽藍人(あそ・らんど)さんは考古学的にその姿を写すのではなく、現代的な表現として抽象的な形の土器を作っています。阿曽さんの興味は、土の原始性を有した現代的な造形であり、それを人為的に抽象化することでむしろその本質を剥き出しにしようとする試みのように思えます。野焼き作品に取り組むのは大学時代から。低温で土を焼いて生まれる土の表情にリアリティを感じ、土器ひと筋で現在に至っています。

土器は1万年以上も前に人類が火によって物質の化学的変化を応用した最初の道具であり、同時に文明を大きく飛躍させました。一方で炎の神秘的な現象から生れる土器は、単なる道具ではなく、人々の精神に深く作用する依り代でもあったのです。私たちが土器に魅せられるのは、失われた原始性が未だに心の奥底に潜んでいるからです。

このタイムカプセルに封印された「時」は永遠なのか、玉手箱のように開かれるのか。そう考えながら見るのも楽しそうです。阿曽さんの第3回目となる個展です。どうぞご高覧ください。店主

阿曽藍人展 土のタイムカプセル
2023年3月18日(土)~3月25日(土) 会期中無休
作家在廊日3月18日
11:00~18:00 最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 

1983年 奈良県生まれ
2009年 金沢美術工芸大学大学院 陶磁コース修了
2010年 常滑市立陶芸研究所 修了
2023年 現在岐阜県美濃加茂市在住


by sora_hikari | 2023-03-12 18:00 | 阿曽藍人展2023

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