「森田春菜展 知覚の隙間」ありがとうございました

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森田春菜展 知覚の隙間」は本日終了しました。会期中ご来店下さいました方、ネットを通じてお選び下さました方、皆様に心より御礼申し上げます。

今日は3月11日。あの日から12年の月日が流れました。

直接的な被害のなかった人たちも、精神的ショックが大きく、たくさんの心が失われました。当時作り手たちも何のために作るのかと、手が止まった人も多くいました。生命に関わることのないモノづくりに疑念も沸く人もいました。純粋な人ほど、なんのために作っているのかと考えました。

弊店が開店したのはその1か月後でした。もちろんうつわに人の関心が向く状況ではありませんでした。しかし不思議なことに、数か月も過ぎると人の気持ちは少しづつ戻ってきました。作る人よりも選ぶ人の方が早かったように思います。人は必要なことだけでなく、情緒的で無用なことも大切なのだと思いました。美しさを求める心には普遍性があると。

考えてみれば、人は意味のないものに感動します。夕日、海の青さ、森の空気、野に咲く花。生命を維持をするうえで必然性のないことに心が動かされます。いや、それは必要なことなのでしょう。それこそが人間らしさであると。

無用とも思えるものに気持ちが動かされるのは、モノに反射して自分の深層にある心が反応するのだと思います。目に見えないものを感じる力。美の体験とは、既存価値の追認ではなく、研ぎ澄まされた自分の中で創造されるものだと思います。

森田春菜さんの作りしものを見て、あらためてそう感じる8日間でした。皆様とも何かが共有できたのであれば幸いです。

by sora_hikari | 2023-03-11 17:43 | 森田春菜展

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