「雅風急須 伊藤雅風の仕事」7日目-2

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雅風急須 伊藤雅風の仕事」の7日目-2。

雅風急須展のオンラインストアのプレビューを開始しました。ご購入手続きは12月24日(土)20時~12月27日(火)23時まで承ります。年末の慌しい時期になりますが、関心のある方はどうぞご覧ください。尚、店頭でも同時に販売しておりますので、先に売約済みになる場合がございます。何卒ご了承ください。

We have started previewing our online store. Purchases will be available from Saturday, December 24, 20:00 to Tuesday, December 27, 23:00 (Japan time). Please note that the product may be sold out as it is also available at the store.

【雅風急須展オンラインストア】
Gafu Kyusu Exhibition Online Store
ご利用期間 12月24日(土)20時~12月27日(火)23時迄
Available from 8:00 p.m. on Saturday, December 24 to 11:00 p.m. on Tuesday, December 27
https://utsuwanoteshop.stores.jp/

本日ご紹介するのは朱泥の「雅風急須」です。朱泥急須はやはり常滑で急須を手掛けるからには、中核にならざる得ない重要なアイテムです。

今は「本朱泥」と言って、顔料となるベンガラ(酸化第二鉄)を混ぜて発色させた人工的な朱泥もあり、それと区別するために「本」を付けて呼ばれます。

「本朱泥」は混ぜ物をせずに、常滑の田土を使った純正の朱泥です。元は江戸後期に陶工・杉江寿門が、当時高級品であった渡来の中国宜興の朱泥茶壷に憧れて、それを国産で再現すべく常滑の田土を使ったのが始まりと言われています。

朱泥は土に含まれる鉄分が酸化焔で発色し、江戸末から明治になって「朱泥急須」が作られるようになり、常滑焼を代表する存在になりました。土に含まれる鉄分がお茶のタンニンと反応して渋みをとり、味がまろやかになると言われています。今でも常滑焼と言えば朱泥急須を思い浮かべる方も多いでしょう。

伊藤雅風さんは、朱泥が出来たばかりの頃の色合いや質感が好きで、当時の原料と土作りの方法に倣っています。独立当初から朱泥をずっと研究し、現在の朱泥はバージョン5になります。実物を見ると分かりますが、落ち着いてしっとりした深みのある朱色です。手触りもよく、このきめ細かさがお茶の味を良くすることが視覚的にも伝わってきます。人工的な朱泥のような艶はありませんが、丹念に水簸して作られた当時の朱泥急須は、土らしい温かみがあり、使い込んで育っていくことで深みを増していくのです。

「雅風急須」の朱泥を、本朱泥と敢えて名乗らずに「朱泥急須」とするのは、そもそも土つくりから作るのが朱泥の本来の姿であり、それを日々実践している伊藤雅風さんにとって朱泥=本朱泥は当たり前のことなのです。

その土作りの一端を雅風さんにお聞きしましたので、ご紹介します。

「原土を水甕(みずがめ)にいれ攪拌し、10分から20分以上時間をおいて沈殿をまち、上澄みのきめ細かい粘土分のみをすくいます。それを350目の篩(ふるい)を通し泥水を濾す作業を1日1回、1年以上かけて水簸(すいひ)を繰り返します。粘土としてとれる量がとても少ないため、朱泥は3か所の水簸場をもうけています。

毎年1月に1年で集めた泥を素焼きの甕にうつし、水分抜き作業にはいります。このとき、上澄みの水は捨てずにとっておきます。水も大事な要素で、水道水はつかいません。沈澱している泥を素焼き甕にうつし、数ヶ月。縁のほうから固くなるので定期的にはがし、中央に盛っていきます。素焼き甕のままだと中央部が柔らかいままなのでハス甕という平たい素焼き鉢に小分けして土を盛っていきます。

こうして2週間から1か月ほど、定期的にかたさをチェックして練れるかたさになったら、練ってしまいます。土の灰汁が抜け、微生物が土を良くするまで 3~5 年ほど寝かせて熟成させて、ようやくろくろ挽きできる粘土が出来るのです。」

この朱泥急須の粘土作りに雅風さんの基本的なスタンスが見えきます。手間を惜しまず、愚直に基本的なことを続ける。それはシンプルだが難しい。

土づくりは無駄に時間が長く(調整済みの土を購入すれば良いのに)、古典的な形状が経済価値を生みづらい(没個性に見られがちで作家ものとして価格転嫁しづらい)。今でこそ多くの雅風急須を支持する方が多いですが、独立後まもない取り掛かり時点では売りづらいというお店側の意見もあったことでしょう。

しかし、良い急須とは何か、彼が惚れる古典急須の良さを信じたがゆえの今があるのです。朱泥急須を通して「雅風急須」の矜持が見えてくるのです。

本日時点(12/23夕方)で残っている作品は、総数44点(急須24点、茶銚2点、絞り出し10点、蓋碗4点、茶海2点、茶心壷2点)となっております。ご来店の際に参考になさってください。

雅風急須 伊藤雅風の仕事
2022年12月17日(土)~25日(日)
11時~18時 最終日は17時迄 
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

略歴
1988年 愛知県常滑市に生まれる
2007年 常滑高等学校セラミック科卒業
2009年 村越風月氏に師事
2011年 名古屋造形大学産業工芸コース卒業
2012年 独立
2022年 現在、愛知県常滑市にて制作




by sora_hikari | 2022-12-23 18:01 | 伊藤雅風展2022

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