「若林幸恵 漆工展  刳りもの」ありがとうございました

若林幸恵 漆工展  刳りもの」は本日終了しました。会期中ご来店下さいました方、ネットを通じてお選び下さいました方、皆様に厚く御礼申し上げます。尚、オンラインストアは本日(10/30)23時までご利用頂けますので、お見逃しの方はどうぞご覧ください。

今回は若林幸恵さんが、刳り物、挽き物、さらに過去の大型作品も含め、全容を惜しみなく見せてくれた展示会でした。

漆器の産地ではなく、東京藝術大学で漆芸を学びましたから、本来ならアカデミックなフィールドが活動の中心と思われますが、個展当初から暮らしの漆器を軸に製作されています。美術系の最高学府である東京藝大は、工芸分野に於いても毎年何人もの作家を輩出していますが、意外にも暮らし向きのうつわの領域で活躍する作家は少ないように思います。今回いらっしゃるお客様を見ていると、彼女のお人柄によるところも大きいと思いますが、藝大閥の方々が多く普段との違いも面白く思いました。

工芸とひとくくりに言っても、美術的工芸もあれば、前衛的工芸もあります。また生活の場に近い工芸も、流通の場や対象とする顧客層によって「うつわ」としての文脈も微妙に異なります。若林さんの場合、生活工芸と呼ばれる無駄のない漆器の文脈とは異なり、独特の漆器の解釈をする稀有な作り手だと思います。

漆器は熱伝導率が低く熱い汁物も気にならず、口に触れて優しく、手取りも軽く、洗い易く、扱いも楽で優れた食器です。一見するとデリケートに見えるため、扱いや傷を気にする方がいますが、中性洗剤で洗えて、特別な手入れも必要ありません。使い込めば艶が増し、日々の食器として馴染んできます。

昔に比べると現代の暮らしから漆器は少し遠ざかっているように思いますが、若林さんのような視点の作り手も加わり、いろいろな解釈が交じり合って漆器の裾野がもっと広がることを願っています。

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by sora_hikari | 2022-10-30 17:00 | 若林幸恵展

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