「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2

沢田重治と外池素之展 常滑古今」の8日目-2。

常滑市の港沿いにある外池素之さんの工房の様子です。周辺には急須職人の作業場が集まり、ここも旧倉庫として使われていたそうです。工房入口の草むらに打ち捨てられた金庫が常滑の栄枯を象徴しているように見えますが、外池さんのような若い世代がこういう場を再利用することで新たな常滑の時代に推移しているのです。

外池さんは愛知県大府市生まれで、大学では地域政策学部にて江戸時代の古文書研究をしていました。お伊勢参りの道程の細かな記録を調べることで、当時の庶民の暮らしぶりが見えてくるそうです。歴史を読み解いていく面白さは、今の焼き物にもつながっているのかもしれません。

大学を卒業してからは、新聞広告を扱う代理店に勤務しますが、生き馬の目を抜くような業界の仕事になかなか馴染めず、2年で退社。その後、自分の手で自己完結できる職に憧れ、とこなめ陶の森 陶芸研究所で陶芸を学びました。そこで助手を数年経験したのちに、2019年から作家として活動しています。

現在のうつわは原土や木灰を使い、焼成によって得られる焼き物らしい現象を活かしています。実用的な器の形に、自然の有する割り切れない変数がどう現れるかは、十分にコントロール出来ず、ゆえに窯出し後の喜びと苦労の繰り返しです。

現在29歳ですから、生前の沢田重治さんとの面識はありませんが、陶芸研究所に勤めていた頃に沢田さんの壷との接点があり、今展の壷の収集をはじめ、献身的に手伝ってくれることでこの企画展が実現することが出来ました。今はまだ常滑という産地を特定する作風ではないですが、この企画を縁に常滑の焼物の歴史という骨格が備わってくれば、益々面白くなる、そんな伸びしろを感じる作り手です。


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15560445.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15560779.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15561021.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15561305.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15561554.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15561976.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15562282.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15562565.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15562800.jpg


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_15563024.jpg

【沢田重治・外池素之展のオンラインストア】
8月3日(水)20時~8月7日(日)23時まで

沢田重治と外池素之展 常滑古今
Tokoname Past and Present
2022年7月30日(土)~ 8月7日(日) 
営業時間 11:00~18:00 最終日は17時まで
ギャラリーうつわノート 
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

沢田重治(さわだ・しげじ)略歴
1906年(明治39)江戸時代から続く窯元「丸四」の長男として常滑で生まれる。
1920年(大正9) 14歳で常滑高等小学校を卒業後、家業(製陶業)を継ぐ。
当時常滑で主流であった土管や建築陶器よりも江戸時代の伝統を引き継ぐ甕や壺などの大物造り一筋に作陶を続ける。
1969年(昭和44)60歳 長男に家業を譲り、より一層大物造りに専念する。
1979年(昭和54)70歳 伝統工芸士認定される。
1982年(昭和57)73歳 に認定される。
1986年(昭和61)77歳「勲七等青色桐葉章」を授与。
1999年(平成11)92歳 老衰により鬼籍に入る。

外池素之(トノイケモトユキ)略歴
1992年 愛知県大府市 生まれ
2014年 愛知大学 地域政策学部 卒業
2014年 広告代理店勤務
2019年 とこなめ陶の森 陶芸研究所 修了
2022年 常滑を拠点に製作活動


「沢田重治と外池素之展 常滑古今」8日目-2_d0087761_00280371.jpg



by sora_hikari | 2022-08-06 17:45 | 沢田重治・外池素之展

<< 「沢田重治と外池素之展 常滑古... 「沢田重治と外池素之展 常滑古... >>