2022年 08月 01日
「沢田重治と外池素之展 常滑古今」3日目
「沢田重治と外池素之展 常滑古今」の3日目。
沢田重治さんの大壷2点。常滑の伝統的な技法である「ヨリコ造り」による大きな壷です。見ての通り形は中世の常滑の壷を踏襲しています。しかし焼成は古典的な炻器に回帰する窯変を狙うのではなく、地の茶色に意図的に掛け流された灰釉が景色として主張しています。沢田さんは「生涯一陶工」と自ら言い続けたように作家的な作品を志向してはいませんが、しかし無作為な中世の壷に比べると、江戸以降の釉薬の施された壷や明治期の常滑らしい「土管」色をした壷を現代性を持って再生しています。このように沢田さんの壷の見どころは、「ヨリコ造り」による成形に加えて、常滑の民陶の流れを汲む壷や甕の肌合いを活かしたところにあります。つまり中世と昭和の「常滑焼」らしさを掛け合わせて昇華させたことが沢田さんの壷の到達点なのです。この時代が混合された作行を是とするかが沢田さんの壷の評価に繋がるでしょう。この仕事を当時の民藝運動家たちが目にしていれば、伝統の継承と見たのか、作為と見たのか、どういう評価であっただろうと興味が湧きます。
写真順
#2 灰被大壷 H66 Φ65cm
#3 灰被大壷 H55 Φ57cm
沢田重治と外池素之展 常滑古今
Tokoname Past and Present
2022年7月30日(土)~ 8月7日(日)
営業時間 11:00~18:00 最終日は17時まで
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
沢田重治(さわだ・しげじ)略歴
1906年(明治39)江戸時代から続く窯元「丸四」の長男として常滑で生まれる。
1920年(大正9) 14歳で常滑高等小学校を卒業後、家業(製陶業)を継ぐ。
当時常滑で主流であった土管や建築陶器よりも江戸時代の伝統を引き継ぐ甕や壺などの大物造り一筋に作陶を続ける。
1969年(昭和44)60歳 長男に家業を譲り、より一層大物造りに専念する。
1979年(昭和54)70歳 伝統工芸士認定される。
1982年(昭和57)73歳 に認定される。
1986年(昭和61)77歳「勲七等青色桐葉章」を授与。
1999年(平成11)92歳 老衰により鬼籍に入る。
外池素之(トノイケモトユキ)略歴
1992年 愛知県大府市 生まれ
2014年 愛知大学 地域政策学部 卒業
2014年 広告代理店勤務
2019年 とこなめ陶の森 陶芸研究所 修了
2022年 常滑を拠点に製作活動
by sora_hikari | 2022-08-01 18:55 | 沢田重治・外池素之展