2022年 07月 26日
「沢田重治と外池素之展 常滑古今」7/30より
7月30日(土)から始まる「沢田重治と外池素之展 常滑古今」。
沢田重治さん(1906-1999)について、「とこなめ陶の森 資料館」の 学芸員である小栗康寛さんに解説文を寄せて頂きました。
「作品は、どれだけつくっても満足するものはなく、生涯が修行」
「これまでの人生でごまかしたこともなく、本当に正直に生きてきた」
「今では買い手もいない。しかし、無心に大物をつくり続ける」
そう語って、来る日も来る日も甕や壺をつくり続けてきたのが、常滑の一陶工「沢田重治」(1906-1999)だ。沢田は江戸時代から続く窯元の七代目の長男として生まれた。常滑では知らない人がいないほど有名な窯屋の大将で、通称「北条の四郎兵衛」と呼ばれ、多くの甕や壺を手掛けてきた。
その技術は、平安時代末期から伝わる常滑の伝統技法「ヨリコづくり」を拠り所としている。これは太さ10センチの紐、というよりは棒に近い形状の粘土を積み上げ、甕などの大型の器形を成型する技法である。
沢田は中世の常滑焼に憧れを抱いていたのだろうか。壺や甕は古常滑を典拠とする形で、豊かな土味を生かすとともに、沢田重治ならではの創造性溢れる灰釉が施されている。作品を手に取るとズシリと重たい。しかし、その重みが心地よくもあり、沢田重治の作品であることを確信する瞬間でもある。
いま一度、陶を生業とする常滑の景色を想像してほしい。
「生涯一陶工」が口癖であった言葉に恥じない気迫、惜しまない努力、土との対話が、沢田の仕事に表れている。常滑焼は、土管、衛生陶器、テラコッタ、急須、招き猫など、様々な陶製品がある。その根源ともいえる甕や壺に可能性を見出し、その生涯を大物づくりに捧げた沢田重治の常滑愛が伝われば幸いである。
とこなめ陶の森 資料館 学芸員 小栗康寛
沢田重治と外池素之展 常滑古今
Tokoname Past and Present
2022年7月30日(土)~ 8月7日(日)
作家在廊日 7月30日・31日(外池)
営業時間 11:00~18:00 最終日は17時まで
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6
沢田重治(さわだ・しげじ)略歴
1906年(明治39)江戸時代から続く窯元「丸四」の長男として常滑で生まれる。
1920年(大正9) 14歳で常滑高等小学校を卒業後、家業(製陶業)を継ぐ。
当時常滑で主流であった土管や建築陶器よりも江戸時代の伝統を引き継ぐ甕や壺などの大物造り一筋に作陶を続ける。
1969年(昭和44)60歳 長男に家業を譲り、より一層大物造りに専念する。
1979年(昭和54)70歳 伝統工芸士認定される。
1982年(昭和57)73歳 常滑市指定無形文化財保持者に認定される。
1986年(昭和61)77歳「勲七等青色桐葉章」を授与。
1999年(平成11)92歳 老衰により鬼籍に入る。
外池素之(トノイケモトユキ)略歴
1992年 愛知県大府市 生まれ
2014年 愛知大学 地域政策学部 卒業
2014年 広告代理店勤務
2019年 とこなめ陶の森 陶芸研究所 修了
2022年 常滑を拠点に製作活動
by sora_hikari | 2022-07-26 18:00 | 沢田重治・外池素之展