「藤田佳三展 黄泉の豊穣」3日目

藤田佳三展 黄泉の豊穣」の3日目。

角形の花入4種。四方それぞれの面に草花が描かれています。平面ゆえに、描かれた絵柄は絵画的に見えます。

いずれも儚く、寂しい。斑のある甘手の白をキャンバスにして、簡素な筆致で描かれ、それを覆う灰釉によって輪郭は滲み不鮮明です。直立した立体は閑寂の佇まいで、そこに入る花は、その対比によって瑞々しさが引き出されることでしょう。

中国南北朝時代(5-6世紀)、南斉の謝赫(しゃかく)が論じた「画の六法」という絵画の評価基準があります。そのうちの5つの基準は、素描力(骨法用筆)、描写力(応物象形)、彩色力(随類貝武彩)、構成力(経営位置)、模写(伝移模写)の具体的な技法ですが、最も上位に置かれたのは生命力(気韻生動)という抽象的な尺度です。

描画の力というのは、最終的には技術を基礎にして昇華した気持ちの顕われです。それは外形からではなく、人の内面から呼び起こす情緒性ではないでしょうか。そこを描けるか。そこを感じられるか。

侘しさの絵の神髄はそこにあるように思います。

17)染付四方花入れ H11.5 W8.5 D7.5 cm
16)染付四方花入れ H15.0 W7.0 D7.0 cm
12)紅安南四方花入れ H15.0 W7.0 D7.0 cm
18)鉄絵四方花入れ  H28.0 W25.5 D25.5 cm

現在、6月8日(水)の20時からオープンするべく藤田佳三展のオンラインストアの準備を進めております。

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藤田佳三展 黄泉の豊穣
2022年6月4日(土)~12日(日) 
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄 
ギャラリーうつわノート 
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

プロフィール
1963年 京都市生まれ
1982年 京都市銅駝美術工芸高校卒業
1986年 京都芸術短期大学陶芸専攻科修了
1987年 小川文斎氏に師事
1990年 兵庫県丹波立杭にて修行
1993年 京都府亀岡市にて独立開窯
2022年 現在、同地にて制作

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by sora_hikari | 2022-06-06 18:52 | 藤田佳三展2022

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