「壷田和宏・壷田亜矢展 山暮らしのうつわ」開催のお知らせ

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5月21日(土)から29日(日)まで開催する「壷田和宏・壷田亜矢展 山暮らしのうつわ」のご案内です。

「畑で採れたてのようなうつわ。新鮮で美味しそう。」前回の壷田展に来てくださったお客様の言葉です。確かに壷田さんの器は、採れたての野菜のようにまだ泥がついて自然に任せるまま不揃いながら、太陽をしっかり浴び、大地の栄養をたっぷり吸収した旨味を感じます。

標高1000mある宮崎県高千穂町の壷田さんたちの暮らしの環境を知ると、滋味豊かなうつわが生まれることに素直に納得します。地に足のついた現代における土着の器。今やうつわはネットを通じて消費財と化した印象もありますが、ポストバブル時代に人々が求めたのは外形だけでなく、どう自分たちの足元を見つめ直すかという問いかけであったように思います。

その価値観のうえに、暮らしに根差した「うつわの思想」が生まれたのではないでしょうか。生活工芸という言葉には様々な解釈がされますが、生活=暮らしとするなら、壷田さんたちのやって来た土着の器づくりは、もうひとつの生活工芸の形であったと思います。

お二人は愛知県立芸術大学で陶芸を学んだ同級生で、卒業後は瀬戸の近くに窯場を作り、また伊賀でも製作をしていました。しかしどちらの場所も外的事情によって引っ越さざる得なくなり、宮崎県高千穂町に辿り着きました。もう誰にも邪魔されない土地を求めて、ここで自分達の暮らしを築いていきました。自給自足に近い生活をしながら、陶芸の窯や道具もいろいろな工夫が見られます。規格化された方法よりも、どうすれば作れるかを発想することが壷田さんのうつわづくりの原点にあります。

肩肘張らずにリラックスして自然を受け入れる。風が吹き、雨が降り、日が差し、季節は巡り、山々を慈しむ。子供たちも山羊や鳥たちも一緒に。作ること、食べることを大切に。しかしその根幹には、土をしっかり焼いて美しくあろうとする作り手としての、生活者としての崩してはならない信念のようなものを感じるのです。

鑑賞陶器よりも実用陶器。皿や鉢はもちろん、乳鉢、水切りざる、そして米、穀物、味噌などを容れる貯蔵器としての蓋付の壷。どれもが自分たちの暮らしを通して生まれたうつわです。山の暮らしが育んだうつわは、料理を衒いなく享受します。土とか焼き方とか技術だけではなくて、大地と繋がる生き方そのものがこれを成し得るのです。

高千穂から採れたての器を手にして頂ければこの実感が伝わると思います。どうぞお出掛けください。店主

壷田和宏・壷田亜矢展 山暮らしのうつわ
From Life in Takachiho, Tsubota Kazuhiro & Aya Exhibition
2022年5月21日(土)~29日(日) 
11時~18時 最終日は17時迄
作家在廊日 5月21日(亜矢さんのみ)
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6(地図

壷田和宏 1972年 三重県伊賀市生まれ
壷田亜矢 1972年 愛知県安城市生まれ
1995年 愛知県立芸術大学陶磁専攻科卒
1995年 愛知県長久手町に築窯
2000年 三重県伊賀市に築窯
2009年 宮崎県高千穂町五ヶ所に移住
2022年 現在、同地にて制作

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by sora_hikari | 2022-05-16 18:00 | 壷田和宏・亜矢展2022

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