2022年 05月 15日
「太田修嗣展 バイプレイヤー」ありがとうございました
バイプレーヤーとは和製英語で脇役を意味しますが、太田さんの一歩控えたいぶし銀のような漆器の在り方を表したく今展のタイトルに選びました。
食器はそもそも料理の脇役ですから、取り立てて言葉にする必要はないのかもしれませんが、一方で見た目の企画に走る器が多いことも事実であり、それを踏まえたうえで太田さんの漆器を通じて再確認したいと思いました。
脇役がしっかりしていれば、自ずと主役も引き立つものです。通奏低音のごとく地味だけれど主旋律を支える存在が無ければ、陰と陽の関係は成立しないでしょう。
太田さんご自身も前に出過ぎず、作り手として脇役に徹しているように見えます。しかし職人気質でありながら、目に見えぬ更新を続ける芯のある仕事が、太田さんの滲み出る個性に繋がっています。
今回、会期中に関東にお住いのお嬢様が四人とも来てくださいました。「この仕事で四人を育て上げてくれたことに感謝している」とのお言葉も。こればかりは、信頼ある父親への主役級の誉め言葉ではないでしょうか。
皆さまのお手元に渡りました太田さんの漆器が皆様の日々のお暮しの名脇役になりますことを心より願っております。この度はありがとうございました。
by sora_hikari | 2022-05-15 17:00 | 太田修嗣展2022