「太田修嗣展 バイプレイヤー」開催のお知らせ

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5月7日(土)~15日(日)に開催する「太田修嗣展 バイプレイヤー」のご案内です。

1949年生まれの太田修嗣さんは、いわゆる団塊の世代で、今年73歳を迎えます。大学時代は学生運動が盛んな頃で体制に依存せず自立しようとする気概は未だにものづくりの底流にあるように思います。

社会に出てからは日本の高度成長期を経験し、その後バブル崩壊の景気後退という、日本経済の上昇と下降を経験してきました。その結果、手造りの仕事を選んだのは、自ら身体を使って糧を得ることにリアリティがあったからだと思います。それゆえに産地のような分業制ではなく、木の仕入れからろくろ、指物、刳り物、下塗りから上塗りまで一貫した製作姿勢は、どこにも属さず自己完結することが必然だったのでしょう。

独立当初は工芸需要が高かった頃(1980年~90年代)で強い造形が求められる時代でしたから、世代的にもっと自己顕示欲の強い表現が先立ってもおかしくないのですが、太田さんの作る漆器は暮らしと調和的な静かさがあり、強さと洗練の間で均衡している点が不思議なのです。

きっとそれは木に添って我を一歩外に置き、素材に耳を傾けてきたからではないでしょうか。この脇役に徹しようとする態度が太田さんの漆器には通底しています。表現的な江戸期の漆器よりも、朴訥とした室町以前の寺院の漆器の方が好みだと言います。古格ある漆器には仏の謙虚な美しさが備わっているものです。きっとその価値観が、脇役に準ずる謙譲の心を支えているのでしょう。

太田さんの漆器の抑制的な形と奥底にある芯の強さは、名脇役(バイプレイヤー)として歩んで来られた人生そのままだと思うのです。前回(2020年)はコロナ禍によりオンラインのみの開催でしたが、今回晴れて4回目となる個展を迎えられます。どうぞご高覧ください。店主

太田修嗣展 バイプレイヤー
2022年5月7日(土)~15日(日) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00  最終日は17時迄
作家在廊日 5月7日・8日
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6

プロフィール
1949年  愛媛県松山市生まれ
1981年  鎌倉・呂修庵にて塗師の仕事を始める
1983年  村井養作氏に師事 蒔絵や変り塗りを学ぶ
1987年  神奈川県厚木市にて独立
     ろくろ・指物・刳物一貫制作の工房を開く
1994年  愛媛県広田村(現・砥部町)に移転
2022年 現在 同地にて制作

写真表紙:
洗朱根来高台盆 径36・高さ8.5cm

写真裏面:
根来四脚平鉢 径18.5・高さ6cm
根来四脚平鉢 径21.5・高さ7cm
根来四脚八寸 径24.0・高さ5cm

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by sora_hikari | 2022-04-26 17:24 | 太田修嗣展2022

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