「瀬川辰馬展 Compile of Ceramics」8日目

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瀬川辰馬展」の8日目。会期は明日4月10日(日曜日)までとなりました。最終日は時間を繰り上げて17時で終了させて頂きます。店内にはまだ十分にお選び頂ける器がございますので、どうぞこの貴重な機会にお出掛けください。

写真は瀬川さんが1~2年間ほど使い込んだアルミニウム彩、硫化銀彩のお皿が変化した様子です。金属彩は使い込むことで酸化や食材の影響を受けて徐々に変化していきます。アルミニウムは鈍い光沢になって落ち着き、また硫化銀彩は渋みを増して抽象画的なマチエールを表します。

本来焼き物技術史の観点から見れば、水が漏れない、割れないなど堅牢にすることが器の命題でした。土器から須恵器、そして陶器に釉薬を纏い、さらに磁器に技術革新していきました。さらに現代のファインセラミックでは半導体や宇宙部品にも応用される先端技術の分野です。

このような現在に於いて、陶胎に金属を焼き付けることは特殊な事例と言えます。一般的に器の表面でガラス化させる釉薬のような保護する性質とは異なり、金属の焼き付けは上絵と同様に、装飾的な意味合いが強くなります。昔はお皿の縁に金彩を施すなど部分的な使い方でしたが、陶胎の全面に金属を焼き付けるのは近年のことです。金属は銀や鉄のように、時間経過と共に酸化が進んでいきますから、表面を保護するよりも、経年変化も踏まえた表現的な側面で用いられます。

不思議なことに日本の焼き物には、機能性だけではなく退行する要素をむしろ「美」として認識してきた歴史があります。茶の湯の見立てを知れば分かるように、粉引の雨漏り手のシミを見どころにしたり、古染付のように虫喰い(釉剥げ)を良しとしたり、井戸茶碗の釉薬の縮れを梅花皮(かいらぎ)として好んだり、偏曲な視点で「負の要素」を愛でてきたのです。

この感覚は食器に限らず、例えばダメージのデニム、使い込まれた皮革、朽ちた壁や寺社の緑青の屋根、ノイジーな歌や曲など、正調ではないものを受け入れることは、様々なジャンルにも存在する感覚です。陶器であるにも関わらず表層を金属で纏うのは技術史的には矛盾がありますが、変化をしていくことで自分だけのものになることへの感情移入や、目に見える部分ではなく、心の琴線に触れるなど形而上の感覚に昇華することで認識していることもあるでしょう。

粉引の器などの場合は、これを「育てていく」という暮らしと同調させていく視点で価値変換をしていく訳ですが、瀬川さんの金属彩のお仕事は、安藤忠雄さんの住吉の長屋のごとく(雨の日に傘を差さないとトイレに行けない)、むしろ使う側が道具に合わせていく、ある種の「棘(トゲ)」をもった鋭敏な器としてお勧めしたいと思っています。多くの場合、器は使う側に柔和な歩み寄りが親和性を生み出しますが、一方で使いこなす(熟すと書いて、こなすとも読む)楽しみもあるでしょう。これが瀬川さんの器の持つダンディズムであり、「粋」とは得てしてそういうものではないでしょうか。瀬川さんの器を選ぶ方は、この極(エッジ)を感覚的に選んでいるように思うのです。

【瀬川辰馬展オンラインストア】
Tatsuma Segawa Exhibition Online Store
https://utsuwanoteshop.stores.jp/


瀬川辰馬展 "Compile" of Ceramics
2022年4月2日(土)~10日(日)
11時~18時 最終日は17時迄  
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6

プロフィール
1988年 神奈川県生まれ、千葉県育ち
2011年 慶応義塾大学 環境情報学部 修了
2014年 多治見市陶磁器意匠研究所 修了
2016年 東京都足立区にて独立
2017年 千葉県長柄町に築窯
2022年 東京都足立区にて制作



by sora_hikari | 2022-04-09 18:27 | 瀬川辰馬展

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