2021年 09月 20日
「東亨展 素材側から」開催のお知らせ
9月25日(土)から10月3日(日)に開催する「東亨展 素材側から」のご案内です。
東亨展 素材側から
2021年9月25日(土)~10月3日(日)
営業時間 11時~18時 最終日は17時迄
作家在廊日 9月25日
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
表紙の写真はこの案内状に載せるために東亨(あずまりょう)さんから届いた河原で拾った石や古い金属板。特に作者による加工はされていません。東さんは基本的に金属作家ですが、造形物だけではなく、考え方も同時に提示する人です。この届いた「素材」は、鑑賞石でもなく、古道具的な見立ての品でもなく、モノ派のようなアート文脈上のものでもないとのことです。彼曰く「燧具(ひうちぐ)」というもので、人の心に火花を散らす素材とのこと。時代劇に出てくる厄除けの火打ち石と繋がる言葉です。
東さんが河原で金属板を加工する際に当て金の代わりに使う自然石が叩くたびに火花を散らす経験から、素材にはその存在だけではなく、使われ方によって人の気持ちを触発する別の役割もあるのだと気づいたことがきっかけです。石と金属が日常にあれば、火を起こさずとも、その人の何かを起こす事ができる。「燧具」は使う側の心に灯りをつける道具に成り得るのではないかとの考えです。
前々回の個展では「アフォーダンス」をタイトルにして金属作品(てっかり)を紹介しましたが、その意図は人がモノに対して意味を与えるのではなく、すでにモノ自体に人の行為を引き出そう(アフォード)とする役割が備わっている」という「人と素材」との関係性の主客を転じた考え方でした。
東さんが「素材」が人に与える影響に着目する背景には、知的障がい者の創作支援をする社会福祉の仕事もあります。人が作るモノの原点を人の自主的な知覚からではなく、モノ側から人の方が啓発される事実を実体験として感じていることにあります。大学時代には「象とコミュニケーションするためのラッパ」を作っていたりと、もともと造形物によって引き起こされる意識の伝達に目を向けていたことも現在に繋がっています。
今展では「素材側」から啓示される観念と同時に、作者の手の加わった「こいし」や「てっかり」(古い金属板を叩いた作品)も同時に並びます。まだ未知数な東さんの領域をどう受け止められるか。この意識の転換に気付くことができるか。見る側が問われているように思います。素材に導かれる東亨さんのお仕事にどうぞご注目ください。店主
東 亨(あずま・りょう)プロフィール
1988年 三重県生まれ
2011年 大阪芸術大学 金属工芸コース修了
2011~14年 同大学にて助手
2015年~ 社会福祉法人に勤務
2021年 現在、大阪府堺市在住 近隣の公園や河原でで製作
by sora_hikari | 2021-09-20 18:00 | 東亨展2021