2021年 08月 08日
「カネ利陶料展 陶土製造業の誇り」ありがとうございました
「カネ利陶料展」は本日終了しました。猛暑の続く中、またコロナ緊急事態宣言下の中、ご来店下さいました皆様に心よりお礼申し上げます。粘土の説明のために岐阜県から来て下さいました岩島利幸会長、岩島ひとみさん、日置社長に感謝申し上げます。カネ利さんと相談をして選んだ粘土を持ち帰るお客様の笑顔がとても印象的でした。これもひとえに心のある土愛ゆえだと思います。
過去に料理、お茶、花など使う側の視点をテーマにした企画展は行いましたが、作り手側の目線で材料から提案するのは今回が初めてでした。うつわを扱う立場として、作り手の裾野を広げるという意味合いもありますが、むしろ今回は日置さんの作家活動に触発され、岩島会長の土ロマンスに魅せられて、ぜひカネ利の仕事そのものを紹介したいという思いが先にありました。
最近は産地に頼らず、使いづらくとも身の回りの土を自分で見つけ、土の特性に合わせて焼きこなす作家さんが増えています。弊店も従来の陶芸用粘土の概念(焼成温度や特性)から脱却し、あらためて焼き物を再構築する動向(焼物サードウェーブ)に注目してきました。それゆえ定番化された粘土への関心は希薄でしたが、今回カネ利さんの志のあるお仕事に触れ、考えをあらためました。土の個性を生かす原土、作り手ごとのブレンド粘土など、土を一律化せず、土そのものを大切にする会社。その根本にある土への愛情、専門的知識、多くの陶芸家を支える陶土製造業の矜持を強く感じました。
今展のご来場者はもちろん陶芸に携わる方が中心でしたが、それ以外に当企画の根底にある「土からのメッセージ」を感じ取ろうと来て下さる奇特な方もいらっしゃいました。常々、企画の観念的な真意は伝わらりづらいものですが、僅かでも届くことで救われる思いもあります。
会期半ばに来られた若い女性。臨床検査技師で毎日夜遅くまでPCR検査のお仕事をされているそうです。その貴重な休みの日に、「土」という素材を感じたいとご来店下さいました。感染者数を更新するこの時期に、土に触れるために見に来てくれる。「土」には人の心を癒す力があるのだと納得する出来事でした。
今回の粘土をきっかけに、カネ利さんとのご縁がこれからも続きますことを願っております。出来れば岐阜県瑞浪市も訪ねてみてください。カネ利陶料の皆様、ご出品下さった作家の皆様、ご来店下さった皆様、多くの方に支えられた企画展でした。あらためて感謝申し上げます。
岩島利幸会長の手
日置哲也社長の手
岩島利幸・ひとみご夫妻
by sora_hikari | 2021-08-08 18:00 | カネ利陶料展