「カネ利陶料展 陶土製造業の誇り」3日目-2



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カネ利陶料展」を開催中です(8/8まで)

何故、土か?

今は自分で土を掘ってきて焼く若い作家さんが増えていると思います。昔から茶陶や焼締めを目指す方は土には強い拘りがあったと思いますが、現在はそれとはまた違った「土回帰」の意識が広まっているように思います。弊店もそのような作家さんを取り上げる機会も多く、その意識の変化には注目してきました。

陶芸に限らず、有機栽培の農業、自然派ワイン、オーガニックな珈琲など自然と共生する意識やフェアトレードのような公正な取引など、従来の大量消費を見直し人間性を取り戻そうとする「気づき」がさまざまな分野で同時に起こっています。

そもそも「土」は生命の根幹であり、食を支える基本的なものです。あく抜きをされ平均化された素材をいくら調理しても、料理のうま味が出ないのと同じように、土の個性を活かすことでその味わいが生まれるのは当然のことでしょう。時にその個性は「苦味」であったり「辛味」であったり、誰もが受け入れる味わいではないかもしれません。しかしその不揃いな自然性が陶芸の美的価値を形成してきた歴史もあるでしょう。今回の店内は、さながら有機栽培の作物や個性あるスパイスを並べているようです。それをどう掛け合わせて料理するかは作る側に委ねられます。

多くの作り手を支える「土」とひとりだけの「土」。今回のカネ利陶料の「土」と、個人の作家が自ら掘る「土」には意識の差があるかもしれません。しかし陶芸産地で大量消費に流されることなく、「土」に愛情をもって商ってきたこと、たくさんの陶芸家ひとりひとりに合わせて土を支え続けてきた30年の歴史、そこにプロとしての誇りを感じるのです。

※写真はカネ利の蛙目粘土。美濃や瀬戸を代表する粘土。石英の粒や雲母の砂が大量に含まれており、石英の粒が蛙の目のように見えることから、蛙目粘土と名づけられました。 粘りが強く、耐火度が高いのが特徴であり、 現在は木を切って表土をめくり、地層に沿ってショベルカーで採取する方法をとっています。

カネ利陶料展 陶土製造業の誇り

2021731日(土)~88日(日) 

11時~18時 最終日は17時迄

在廊日

8/78 岩島利幸・日置哲也

ギャラリーうつわノート

埼玉県川越市小仙波町1-7-6


【展示会の内容】

1)カネ利の陶土の販売(約50種)

2)カネ利の土を使った作品展示

日置哲也 松永圭太 白石陽一 平野日奈子 額賀円也 岡野里香 畑中咲輝

3)土の相談会

8/7(土)、8/8(日) 

岩島利幸氏と日置哲也氏による陶芸家向けの粘土の相談を承ります。


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by sora_hikari | 2021-08-02 18:49 | カネ利陶料展

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